法律を厳守すれば高齢者には貸せない

 民間賃貸住宅市場で高齢者に部屋を貸したがらないのには、大きく3つの要因がある。

 1つは、家賃滞納リスクである。高齢賃貸住宅居住世帯は十分な金融資産を保有していないケースがあり、必ずしも余裕があるとは言えない年金受給額から家賃を支払うことになる。ひとたび家賃滞納が始まれば正常化することが困難だと判断される。さらに家賃滞納によって建物明け渡し訴訟を起こしたとしても、転居先が見つからなければ強制執行が行われない場合がある。そうしたリスクを家主が回避する傾向にある。

 しかし、筆者の家賃滞納に関する研究論文では、60歳以上の家賃滞納確率は年齢別に見ると最も低く、家賃滞納リスクは実際には低いことが強く示唆されている。逆説的に言えば、高齢者は家を借りにくいからこそ、家賃をしっかり払おうという動機が強いということなのだ。

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