街に関するランキングは多数発表されており、乱立と言えるほどだ。その中で、筆者が企画・分析に関わっている「いい部屋ネット街の住みここちランキング」は、2019年から2022年の4年間の累計回答者数が全国で64万6245人、回答者が50人以上でランキング対象になる市区町村数は1314(全国の約7割)。これだけの規模で全国を網羅している調査は他にはないだろう。そこで今回からしばらく、各地方のランキングを解説していきたい。1回目は九州・沖縄地方だ。

福岡県など九州・沖縄地方の住みここちを調査した(写真:撮るねっと / PIXTA)
福岡県など九州・沖縄地方の住みここちを調査した(写真:撮るねっと / PIXTA)

 「いい部屋ネット街の住みここちランキング」では、大きく分けて以下の4つのランキングを発表している。

  • 実際に住んでいる人に街の満足度を調査した「街の住みここちランキング」
  • 実際に住んでいる人に街に対する愛着度合いを調査した「住み続けたい街ランキング」
  • 実際に住んでいる人に現在の幸福度を調査した「街の幸福度ランキング」
  • 住んでみたい街を選んでもらう「住みたい街ランキング」

 最後の「住みたい街ランキング」は様々な調査機関・企業から発表されているが、よく遊びに行く街など人気投票の要素が強く、実際に移り住むという行動には結びつきにくい。それに対して、他の3つは実際に住んでいる人に回答してもらうため、街の実力が反映されやすい。

 「街の住みここちランキング」は生活利便性など街の機能的評価、「住み続けたい街ランキング」は愛着という感情的評価の性格を持つ。「街の幸福度ランキング」は住民の主観的幸福度を聞いているが、街への機能的評価と感情的評価も主観的幸福度に影響があることから、より上位概念といえるだろう。この連載では、この3つのランキングを基に注目したい自治体を紹介していく。

福岡県はランキングごとに街の顔ぶれが違う

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