不動産は、一生に一度の買い物と言われる。間違った選択は避けたいが、世の中には不正確な情報があふれているのも事実だ。リクルートで長年、住宅情報サイト事業などに関わり、現在は麗澤大学客員教授、大東建託賃貸未来研究所長・AI-DXラボ所長として不動産に関する調査研究に取り組む宗健氏が、データに基づいて不動産の真実を解き明かす。(写真:PIXTA)
Focus 20
データで解き明かす不動産の真実

34回
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住みたい街ランキングに大した意味はない?
筆者が所属する大東建託賃貸未来研究所は5月18日、「いい部屋ネット 街の住みここち&住みたい街ランキング2022 <首都圏版>」を発表した。住みたい街ランキングは複数の企業が公表しているが、その順位は調査ごとにバラバラだ…
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東京への一極集中が再び始まった
新型コロナウイルス禍により東京からの人口流出が少しずつ増加し、東京一極集中が解消されるかもしれない、という期待を持つ人は多いようだ。テレワークの浸透や東京の住みにくさに気づいた人が郊外や地方に移住していることを挙げる言説…
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イオンのある街は「住みやすい」 都市の生活様式の押しつけはやめよう
郊外や地方では暮らしに占めるクルマの存在感が大きい。そうした地域の生活利便性を高めているのが、イオンに代表される大型ショッピングセンターだ。その有無は、明らかに居住満足度に影響を及ぼしている。一方で、都市中心部の利便性は…
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「住みやすそう」で全国最下位の東京都 この評価はなぜなのか
新型コロナウイルス禍となった2020年以降、人口の転出超過に注目が集まる東京都。しかし3~4月は依然として圧倒的な転入超過が続いている。進学や就職などで上京する人が多いからだ。しかし彼らの多くは「東京は住みにくい場所だ」…
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住宅ローンの借入額と返済期間を最大・最長にすべき理由
住宅ローンを利用した持ち家の購入が、“自分自身を顧客とした有利な賃貸事業”であり、“強制的な個人年金の積み立て”とも考えられることを前回の記事で解説した。これらはいわば住宅ローンを戦略的に考えるということだが、実際にいざ…
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住宅ローンは“強制積み立ての個人年金” 配当は老後の家賃相当分
賃貸vs持ち家論争では様々な論点があり、その1つに、住宅ローンという多額の借金を負うことが大きなリスクだと指摘される場合がある。「年功序列や終身雇用が崩れたことで、住宅ローンのリスクは大きくなっている」という意見もあるが…
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東京都の人口がなぜ減少? 原因はテレワークではない
東京都の人口が減少していることが報じられ、テレワークによる郊外移住がその原因として取り上げられることも多い。確かにテレワークによる移動も多少はあっただろうが、人口の増減は国内の移動数だけで決まるものではない。実は外国人出…
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なぜ空き家の流通が進まないのか? 50年変わらないその理由
連載の第2回でも解説したように、空き家の絶対量はまだそこまで多くはない。しかし、使える空き家が、借り手や買い手を見つけにくいことも事実だ。そして人口減少地域の古い戸建て空き家だけでなく、都市近郊の築古分譲マンションといっ…
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「高齢者お断り」の賃貸住宅がなくならない、知られざる理由
日本が高齢化社会に突入したといわれて久しいが、住まいを自由に選べない高齢者は年々増加している。それは、高齢者の増加と持ち家率の低下によって高齢者が必要とする賃貸住宅数が増えているにもかかわらず、高齢者が借りやすい住宅はな…
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「廃虚マンションはまだ生まれない」と考えるこれだけの理由
検索サイトで「廃虚マンション」と検索してみると多くの記事がヒットする。検索結果の上位には、「大量の廃虚マンションが生まれる」「廃虚マンション時代がくる」といった刺激的なタイトルが並ぶ。内容を見てみると、そんなに遠くない将…
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間違いだらけの不動産情報 「タワマン廃虚化」は論理の飛躍だ
連載を始めて1年になる。初回から一貫して重視してきたのは「ファクト・ベースド」であることだ。今回は年初の原稿でもあり、初心を思い出す意味も込めて、「データで解き明かす」ということの背景について論じてみたい。
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空き家解消を後押しするか 知られざる3つの解決法
空き家問題への読者の関心は高いようで、前回の記事に対しても様々なコメントをもらった。その中には、「更地にして売却したが建物の解体費を差し引くとマイナスになった」「売値が付かない不動産をどうすればいいか」といった声もあった…
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注目の「空き家問題」解決策 活用するより更地にした方がいい?
空き家問題への関心は依然として高い。一方で、地方の人口減少地域では、住宅数そのものが減少している地域があることが筆者の研究で確認されている。今回は、地方の人口減少地域で空き家が滅失され、空き家問題が一定程度解決に向かって…
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「駅近の物件ほど価値がある」は誤解? 田んぼの中が人気の地域も
不動産で“駅近物件”がもてはやされているのは、限られた大都市部にすぎない。地方では1人1台マイカーを持っていることが当たり前で、駅からの近さよりも、駐車場の有無が物件選びには重要になる。さらに新型コロナウイルス感染への不…
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「住み続けたい街」と「住み心地の良い街」になぜ差が出るのか
都市部の住み心地の良さは“適度な無関心”による緩い人間関係に支えられており、地方でも一定規模の人口流入が、地域に新しい住民への受容性を生み、幸福度の向上につながる可能性について前回説明した。一方で、人間関係が濃密な場所ニ…
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若者が地方から逃げ出す本当の理由 流入のカギは「適度な無関心」
都市と地方では生活利便性の違いも大きいが、人間関係の違いも大きい。都市の人間関係は比較的希薄で新しい住民もなじみやすいが、地方の人間関係は濃密で、移住者が地域コミュニティーとの関係づくりに悩むことも多い。そして、それは地…
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ダイバーシティが進んでも、居住地の“分断”が続くワケ
前回の記事で、東京23区の新築マンションの平均価格がバブル期を超えた理由の1つとして、東京23区には世帯年収が1000万円を超え、夫婦両方が大卒以上で正社員の共働き夫婦が多いことを挙げた。東京23区だけではなく首都圏には…
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東京23区の新築マンションの平均価格がバブル期超えのワケ
日本はバブル経済の崩壊以来デフレが続き、日本人の給料は20年以上ほとんど上がっていないことが時々話題になる。一方で近年の不動産価格は上昇を続けており、新築マンションの平均価格はバブル期を超えている。なぜ、給料が上がらない…
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持ち家・賃貸論争を再分析 「賃貸派」から見える価値観の傾向
「持ち家VS賃貸」の話題は多くの人の関心を集めている。以前の記事で「持ち家は自分を顧客とした最も確実性の高い賃貸事業」とした筆者の結論に対し、投票の約7割が「参考になった」とする一方、コメント投稿には否定的なものが非常に…
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2040年、沖縄以外は世帯数減少 迫られる「地域のトリアージ」
最新の国勢調査の結果と、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口・世帯数のデータを使って、地域の将来を大まかなベクトルとして予測してみた。見えてきたのは、2040年には全都道府県で人口減少に転じ、沖縄県だけが世帯数増加…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
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この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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