前回は、アンケート調査の結果などから、リモートワークの状況で起きうるハラスメント、通称「リモハラ」の実態を紹介した。リモハラの被害を受けている社員のみならず、リモハラ防止とコミュニケーションの活性化の両立に頭を悩ませる各社の人事担当者や、慣れないリモートワークで部下との間合いを図りかねているマネジャーは、決して少なくないだろう。

 週1回の上司と部下との30分の1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング、活発なチャットのやりとり、全員顔出しのビデオ会議――。

 そんなリモートワーク環境が実現できれば、どんなにいいことか。リモハラ対策に悩むビジネスパーソンにとってうらやましい限りの光景が繰り広げられているのが、リモートワーク先進企業として知られるサイボウズだ。

 10年前に、いち早くリモートワークを導入し、最初の緊急事態宣言が明けた後、昨年7月にはテレワークの続行を呼びかけるTVCMキャンペーン展開。「がんばるな、ニッポン。」と呼びかけて話題を呼んだ。

 サイボウズのリモートワークを特徴付ける仕組みに「分報」というものもある。

 「これから始業します」「少し散歩に出かけます」「今は○○の作業を進めています」といったように、社員各自が自身のチャットチャンネルで状況を発信する。日報よりも短いサイクルでの報告といった意味合いから分報と呼ばれている。

 マネジャーはこうしたチャンネルを見るだけで、ある程度部下の勤務状況や作業の進捗などを把握することができる。

 サイボウズで働き方改革を担当し、そのノウハウの提供も手がけるチームワーク総研のなかむらアサミ・シニアコンサルタントは「リモートワークでは、マネジャーは部下の状況が見えなくて不安になるが、部下は部下で自分が仕事をしていないと思われたくない。情報発信が非常に大切になる」と指摘する。分報は以前からある仕組みだが、コロナ下でリモートワークが進む中で一層活発になったという。

サイボウズのオフィスの執務スペース

先進企業も手探り

 10年の歳月をかけてリモートワークを洗練させてきたサイボウズだが、当初からうまくいったわけでない。むしろ、今、多くの企業が悩んでいるのと同じように、失敗からのスタートだったと言っていい。

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