「中小企業不要論」が目立つようになってきた。かねて経営者の高齢化による後継者不足が問題だったところにコロナ禍が重なり、廃業を選ぶ中小が増えた。日本経済の生産性が低い原因を、中小企業の多さに求める分析もあり、再編や淘汰で企業規模を大きくすることが、企業にとっても日本経済にとっても有効だという論調だ。
だが、果たしてそうだろうか。中小企業といっても年商は数億円から100億円以上まで幅広く、規模拡大を狙う企業もあれば、持続的経営を志向する企業もある。こうした違いをおろそかにして、十分な経営支援が行き渡らず、経営者自身も自社の立ち位置や強みを認識できずにいたから生産性が低い企業が残っているのではないか。
そもそも、デジタル化の大波は企業の規模に関わらず、経営の大転換を求めている。変革期だからこそ、身軽で果断が可能な中小企業ならではのサバイバル術がある。 (写真:PIXTA)