晴れの日に傘を貸し、雨になって取り上げる──。
業績好調な企業へ融資を売り込む銀行が、危機時に貸し倒れを恐れて引き上げようとする態度をやゆした言葉だ。コロナ禍では政府の後押しもあって、傘を取り上げることなく融資は潤沢で、企業の倒産件数は抑えられている。ただ、2020年の休廃業数は過去最多。その6割は黒字だ。
黒字企業が事業継続をあきらめるのは、経営者の高齢化や後継者不足があるにしても、企業や経営者を取り巻く環境におかしな点があるからではないか。雨の日に、「穴が開いた傘」を差し出す人たちは、実際いる。

関西でリフォーム会社を経営する沢田啓行氏(仮名)は2020年夏、無事に自社を売却した。男性は売却後に引退することを考えていたが、売却先企業の希望もあって、しばらく売却した企業に残ってサポートすると決めた。
だが、専任契約を結んだM&A(合併・買収)仲介大手のA社にはこれらの事実を知らせていないままだ。沢田氏はなぜこのような行動に出たのか。
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