前回は、マルチソリューションを可能にする生産設備改革と、より電動化に適した開発計画見直しの話を取り上げたが、今回は自動運転系、より正確を期すのであれば、次世代の高度運転支援技術(ADAS、車線維持や自動ブレーキ、前車追従など)がどう変わっていくのか、マツダはそこにどんな技術を投入していくのかについて聞く。

マツダ・廣瀬一郎専務執行役員
マツダ・廣瀬一郎専務執行役員

池田直渡(以下、池田):残るテーマの大物、具体的には2つあるんですが、まずプロアクティブセーフティーの未来というか、より具体的には「コ・パイロット(Mazda Co-Pilot Concept)」ですよね。「ドライバーの緊急時に運転を引き継いで安全に停止させる」という、他社にはあまりない技術についてです。実はすでに三次のテストコースで体験させていただきました。ここを聞かせてください。

マツダ 専務執行役員 廣瀬一郎氏(以下、廣瀬):今、自動運転系ではレベル3(条件付自動運転化)とか4(高度自動運転化)とか、なんとなく「誰が早く高いレベルに到達するか」の競争みたいな話がよくされていますが、マツダはそういう方向では考えていません。私たちはコーポレートビジョンに沿って2007年当初から「すべてのお客様に優れた環境、安全性能と走る喜びをお届けします」と言い続けて来たわけです。その中で、すべてのお客様にお届けする安全性能ということを考えたときに、いたずらな自動化競争ではなくて本当にいざというとき、エマージェンシーの際にお客様を助けるその技術こそが必要だよねと。だからそういった意味で「コ・パイロット」と言っているわけです。

池田:緊急事態にだけ影からさっと出て来る、シークレットサービスみたいな存在ですね。

(画像:マツダ)
(画像:マツダ)

ドライバーが突然運転できなくなったときに

廣瀬:そうです。これは従来のADAS系、言ってみればレベル2(部分自動運転化)の技術をベースに、そこでレベル2で使っているカメラだとかセンシングデバイスと、あとはロジックですね。この辺を上手く組み合わせることによって、「お客様に安全性能をお届けしよう」と。ドライバーモニタリングのカメラでドライバーの異常を察知するとか、意識を失ってハンドルから手が離れてしまうようなことが起きたときに、同乗者の方が落ち着けるように音声案内でガイドしながら、クルマが自動で安全に車速を落として止めに行きますよ、というシステムです。

「<a href="https://www.youtube.com/watch?v=4ButpIPLKpY" target="_blank">マツダ 中期技術・商品方針説明会 プレゼンテーション</a>」の動画で実際の動作イメージを見ることができる
マツダ 中期技術・商品方針説明会 プレゼンテーション」の動画で実際の動作イメージを見ることができる
[画像のクリックで拡大表示]

廣瀬:コ・パイロットには、1.0と2.0があるんですけど、2.0についてご説明します。この技術は国土交通省の「ドライバー異常時対応システム」のガイドラインに沿ったもので、「ドライバーが恒常性を失った時」に、運転を代行して、退避できる安全な場所を探しながら、そこまでの限られた距離をクルマ側の制御がオーバーライドして停車させる仕組みです。

次ページ コ・パイロットの運転が素晴らしいが故の疑問