廣瀬:付随して、場合によってはジェネレーターのキャパシティーがちょっと違いますが、そういう構成機器の大小の話を除けば、システム構成は一緒です。結局ロータリーエンジンで発電機を回す構成を使って各種派生が考えられます、ということですね。

方式はシリーズハイブリッド。エンジンで発電、つまりエンジンを発電機(ジェネレーター)として使い、その電気をバッテリーに溜め、モーターを駆動する。ここで左列の「地域特性」に注目してほしい。その国や地域で外部の充電設備が整っている場合は、「EV」としての需要が高くなると予想されるので、エンジン(発電機)やその燃料タンクは小さく、バッテリーを大きくすることで、EVとしての性能が高くなる。一方、充電が手軽に行えない地域では、バッテリーに頼る比率を下げて小型化し、高出力のエンジンで発電して燃料タンクも大きくする。その中間の地域には中間の構成で対応する。ロータリーエンジンを軸にして、「同一の車種」で異なる地域(市場)の特性に対応できるのだ。
方式はシリーズハイブリッド。エンジンで発電、つまりエンジンを発電機(ジェネレーター)として使い、その電気をバッテリーに溜め、モーターを駆動する。ここで左列の「地域特性」に注目してほしい。その国や地域で外部の充電設備が整っている場合は、「EV」としての需要が高くなると予想されるので、エンジン(発電機)やその燃料タンクは小さく、バッテリーを大きくすることで、EVとしての性能が高くなる。一方、充電が手軽に行えない地域では、バッテリーに頼る比率を下げて小型化し、高出力のエンジンで発電して燃料タンクも大きくする。その中間の地域には中間の構成で対応する。ロータリーエンジンを軸にして、「同一の車種」で異なる地域(市場)の特性に対応できるのだ。
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2019年秋に公開されたロータリーエンジンを発電機として使用するマルチ電動化技術のレイアウト写真。左側にレイアウトされているのがモーター、右側にレイアウトされているのが発電機として使用するロータリーエンジン
2019年秋に公開されたロータリーエンジンを発電機として使用するマルチ電動化技術のレイアウト写真。左側にレイアウトされているのがモーター、右側にレイアウトされているのが発電機として使用するロータリーエンジン
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編集Y:組み合わせ例で見ると、「レンジエクステンダー」は小さな発電機、大きなバッテリー、小さな燃料タンク。「PHEV」の場合は大きな発電機、小さなバッテリー、大きな燃料タンクで、これはでもシリーズハイブリッドと同じですか? いや、バッテリーが違うんだ。プラグインの方が少し大きい。

廣瀬:組み合わせは色々あるんですが、概念的には、方式は全部シリーズハイブリッドなんです。エンジンを回して発電機で発電する、その電気で車輪を駆動する。

編集Y:となると「ロータリーエンジンによるレンジエクステンダーがなくなった」と言う方は何をもってそう言っているんでしょうかね。

廣瀬:発表で、「プラグインとハイブリッドです」と言っているからだと思います。

池田:世界的には、レンジエクステンダーって言い方をするメーカーがどんどん減っているんですよ。だから「レンジエクステンダー」という言葉自体にオフトレンド感がすごくあるんですよね。それで「マツダもやっぱり」という言い方になっているんじゃないでしょうか。ただ、これではっきりしたのは、要はシステムはあくまでもシリーズハイブリッドで、各国の規制に合わせて燃料タンクの容量とか、そういうものが変わるだけだと。

廣瀬:はい。

池田:ありがとうございます。すっきりしました。

編集Y:これって電気モーターは、発電機やバッテリーとは全然別の変数として組み合わせるんですか、それともこれらに連動して、組み合わせごとにモーターの出力も決まってくるイメージなんでしょうか。

池田:モーターは車両の重量によって変わるでしょう。

廣瀬:そうですね。車両の目標性能によって。

編集Y:車両の個性を決めるのはまずモーターということか。

池田:あくまでもシステムなので、動力として考えると給電側、つまりバッテリーと発電機の方が支配的ですが、もちろんそっちを向上させたとしてもモーターの出力以上は出せません。だからモーターもシステムの一部として重要だということですね。あと4駆にするなら当然2モーターになっちゃいますね。

廣瀬:そうですね。そして、モーターと電池と発電機の関係に関しては、電池の容量が大きければ、発電機への要求は減るんです。例えば電池がもし仮にゼロだとすると、常時モーター出力分の発電を求められるので、その分だけジェネレーターの能力が高くないといけなくなりますよね。

編集Y:そうか。バッテリーに電気がたっぷりたまっていれば、ジェネレーターは怠けていてもいいわけですね。

廣瀬:ええ。だからバッテリーの価格だとか、バッテリーや原材料の需要というか需給の関係なんかも踏まえて、「例えばこういう選択ができますよ」ということを、本当は言いたかったんですね。

水素ロータリー、ここで復活

池田:なるほど。分かりました。とにかく基本がシリーズだということがはっきりすれば、それは説明のしようがあります。

廣瀬:あと、このシステムって結局のところ何だというと、水素ロータリーでずっとやってきた方式が、ここでもう1回復活しているんですね。

池田:あ、なるほど。

廣瀬:水素ロータリーも、もともとの始まりはバイフューエル(水素とガソリン両用)で、ロータリーは燃焼室がハウジング(エンジンの外壁)の内周を回っていくのでプリイグニッション(早期着火、プリイグ)が起きにくいということで、特別なインジェクターを使わなくても普通の天然ガス用のインジェクターで水素を吹いて、回せていたんですね。

編集Y:水素だけでなくいろいろな燃料で回せるロータリーエンジンを造った、その一つが水素ロータリー。あれ、普通のエンジンは水素は使えないんですか池田さん。

池田:だから(笑)。でもここは解説が要りますね。普通の自動車のエンジン(レシプロエンジン)の場合、水素はガソリンと比べると着火感度が10倍も高いので、燃焼室に熱いポイント、ホットスポットができると、プリイグが発生して、点火のタイミングがコントロールできなくなるんです。

編集Y:思ったより早く火が付いちゃうと。どこがホットスポットになるんですか?

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