廣瀬:それは、技術説明会(2021年6月)でご質問をいただいた件ですね。
池田:そうです。実は答えは聞いているんですが、読者は知らないので。ハイブリッドの有効な利得を考えると24ボルトを48ボルトにしたいはずだという、そこです。
編集Y:その前に池田さん、なぜ48ボルトが望ましいんでしょうか。さくっとお願いします。
池田:いやだからYさん、ここでなぜ廣瀬さんに聞かないの(笑)。マイルドハイブリッドとは言え、それはやはりカーボンニュートラルへのアプローチなので、CO2削減の利得で評価されます。そこの部分は、結局回生したエネルギーをどれだけ動力に還元できるかで表される。電流(A)×電圧(V)=電力(W)ですから、つまりはエネルギー量を増やすためには電圧は高い方が有利なはずなのですよね。電流の方を上げようとすると、配線を太くしないとならない。だから電圧を上げたいのです。48ボルト化はマツダの現行車、第7世代ではなく、次の第8世代までかかっちゃいます?
廣瀬:2025年を境に「ユーロ7」など、いろいろな規制が強化されますよね。そうなったときに、やはり本当の意味で電動化内燃機関の活躍の場が出てくるよね、そうなったときには24ボルトよりも48ボルトですね、と。少なくともこのタイミングには(48ボルトに)変わっていないといけないと思っています。
池田:2025年。言い切って大丈夫ですか。
廣瀬:言い切りは危険ですけど。ある節目で。
池田:なるほど。じゃあ、そんなに遠い先じゃないんですね。
廣瀬:そんな長くないですね。もともと技術説明会でも申し上げたように、48ボルトの趨勢になってきたら、価格的にこなれてくるので使える状態になります。
お待たせしました、ロータリーエンジンの話です

池田:さあ、そして今回の取材のたぶん核心です。RE(ロータリーエンジン)マルチ電動化技術、これはどうなるんですか。
廣瀬:どうなるとおっしゃいますと。
池田:まず、ちょっと錯綜(さくそう)している情報の整理から。「ロータリーエンジンによるレンジエクステンダーはなくなった」という話が出ています。これは事実ですか。
廣瀬:それは「何をレンジエクステンダーと呼ぶか」という定義によるんですよね。バッテリー容量に対して「走行レンジをエクステンドする」のをレンジエクステンダーと呼ぶとすると、今のPHEV(プラグインハイブリッド車、エンジン、家庭用電源から充電可能)の使い方もレンジエクステンダーですし、例えば米国などでは、電池で走れる距離を超えない走行可能レンジを内燃機関によりエクステンドできるものをレンジエクステンダーと言います。
何をキープして、何をやめたのかを色々な推測で書かれているんですけど、別に商品展開として何かを閉ざしたわけではないですし、今後の展開上の道はずっと残しているつもりです。奥歯にモノが挟まったようなことを言いますけど。
池田:ここがずっと分からないんですよ、みんなさも自信ありげにいろいろなことを書いているので、ボクも勘違いしていた部分があったのですが。ええっと、まずここで言うロータリーエンジンは車輪を直接駆動するんですか。
廣瀬:発電機です。
池田:駆動はしないと。
廣瀬:今、発表しているのはそうです。
池田:つまり原則はシリーズハイブリッドの延長にあるシステムであるということですね。
廣瀬:はい。方式はシリーズハイブリッドです。ロータリーエンジンを発電機として使ってモーターを回します。あとは電池の容量と燃料タンクの容量の違いによって、バリエーションがあります。そして各国の規制に合わせて呼び名が変わります。が、中身は一緒です。
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