廣瀬:そうではないです。BEVが造れる、造れないの領域のところで困っているわけじゃないんです。目的は効率化にあります。エンジンを積んだクルマと違って、BEVって、例えばエミッション規制とかはないですから、少なくともパワートレインについては、参入障壁が下がるのは確かです。商品として出す上でクルマトータルでの完成度の違いはあれど、何と言いますかね、満たすべき法規制要件に比較的簡単に適合させることができます。

池田:そうですね。

今年6月の「中期 技術・商品方針説明会」で公開された図。グレーの矢印の一番上にある「電気自動車」が、MX-30 EV MODELから発展するのであろうマツダ独自のBEV、25年以降に登場すると見られる「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」が、廣瀬さんが言う「EVCASの成果が反映されていく」BEV、ということだ
今年6月の「中期 技術・商品方針説明会」で公開された図。グレーの矢印の一番上にある「電気自動車」が、MX-30 EV MODELから発展するのであろうマツダ独自のBEV、25年以降に登場すると見られる「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」が、廣瀬さんが言う「EVCASの成果が反映されていく」BEV、ということだ
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廣瀬:そうなると、勝負のポイントが変わってきます。どのセグメント、どんなサイズ、どんな車形、それはどういう車種ということですが、マーケットで、どこから「BEV普及の爆発」というか、お客様の嗜好が膨らみ始めるかをいち早く察知して、そのニーズに応える商品を素早く投入していけるかどうかが勝負になってくるでしょう、と。

 そうしたときに従来の内燃機関車開発のようなやり方をしていたんじゃ、リードタイム上まったく太刀打ちできなくなると。だから、こここそ一括企画開発(マツダが「第6世代」の開発で用いた、技術要素の重要な点を共通化し、シミュレーションを多用して短時間でいくつものモデルを開発する手法)を取り入れた上で、どんなクルマの需要爆発が来たとしても、圧倒的な短時間の中で対応できるようにしておこうと。

池田:つまり、市場の動向を見ずに、博打的に予想で商品を投入するのではなく、マーケットの動きを見て、正確かつ即応的に求められるクルマを出していくと。

 それには開発の瞬発力を高める必要があり、EVCASはそのための活動だったということですね。武道の世界で言う「後の先」。相手のわずかな動きを察知しての先制攻撃とでも言うのでしょうか。機を捉えて即応する体制を作ったと。

廣瀬:ええ。結局そこの一括企画、一括開発、それを構成する図式といいますか、手法をEVCASで皆さんと一緒につくったわけです。

もはや電気自動車で日本の「負け」はない?

池田:実は私は、そこを割と詳しく知っているんですけど、それは10年黙っている約束で取材した話なので、今の説明で流れがよく分かったんですが、極めて残念なことにそれ以上書けません(笑)。

編集Y:ええっ(笑)。

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