池田:つまり平たく言えば、米国マーケットで成功するためには、どうしても6気筒のエンジンが欲しい。米国で戦うには、4気筒ではハンディ戦になってしまうということですね。

廣瀬:その通りで、米国への6気筒投入戦略は、本質的にはブランド価値の向上を目指す戦略です。ラージプラットフォームでクルマの価値を向上させるのに先駆けて、数年がかりで米国の販売チャネルの整備もやってきまして、今ちょうどようやくその成果が出始めているところです。

マツダの2022年3月期上期決算説明会資料より
マツダの2022年3月期上期決算説明会資料より
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池田:米国の、あの「コンシューマー・リポート」で20年は1位を取ったし。

廣瀬:はい。そうした下準備が終わったところにラージを入れて、もう1段上がっていきたいと。

「EVを売る」ためには、従来のクルマで稼がねばならない

池田:いや、普通に考えるとすごく順当なプランなんですよね。ただ記事にして世の中が素直に「そうだよな」と思ってくれるかどうかは、これはまたよく分からないんですよね。「BEVに全集中」とかの方が分かりやすいから。「いまさら内燃機関のしかも6気筒エンジンなんて理解できない」みたいに、恐らく言われます。

廣瀬:マツダ暴走か、とかってねぇ(笑)。

池田:「化石化した内燃機関に固執し続けている」とか言われちゃうわけです。BEVの25%を“支える”という重要な使命があるにもかかわらず。

担当編集Y(以下、編集Y):あ、支えるのがBEVじゃなくて、BEV“を”支えるのか。

マツダ広報部 町田晃氏(以下、町田)ラージの説明をするときの一番の悩みの種がそこです。メディア各社からそういう質問がいっぱい来ます。

池田:みんな「自動車メーカーはオールBEVに舵を切った」というのを事実だと思い込んでいるので、いや、それはいくらなんでも針小棒大なわけですよ。グローバルで見て、内燃(機関)ありとBEVの比率は、98:2とか、せいぜい最大限甘く見ても95:5くらいのシェアというファクトを見て、舵を切ったと言えるのかと。それで95の方を指してガラパゴスって、どういう理屈なんだと思いますけどね。それでももうBEVに舵を切ったという見方が変わらないわけですよ。

廣瀬:なるほど。

池田:それが前提になって、「日本はガラパゴスだからハイブリッドでいいかもしれないけど、BEV規制が広がって、世界の主要マーケットで内燃機関付きのクルマが売れなくなったら、日の丸自動車メーカーは持ちこたえられるんですか」とか真剣に言い出すわけですよ。目を見開いて現状の数字を見れば、BEVが5%以上売れている国なんて、ノルウェーとか中国とかエネルギー政策が特殊な数カ国だけで、世界平均ではせいぜい2%とかなわけじゃないですか? 少なくともBEVのグローバルシェアが80%ぐらいにならない限り「BEV以外のシステムを全面禁止」なんて政策で強権発動ができるわけはないです。社会全体に与える不利益が多すぎる。でも、こんな当たり前の話が通じないんですよ。

廣瀬:うーん。

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