「内燃機関+電動化技術」がやっぱり稼ぎ頭
池田:リアルな事業をやっていらっしゃる方たちにとっては、製品の付加価値をどうやってきちんと積み上げて、国レベルのGDP(国内総生産)が上がっていくようにしていくほうが大事で、株価はむしろその結果でしかないはずなんです。そういう意味での、中計の中心になる部分はどこでしょう。「自動車メーカー」マツダの利益の堅実な成長を担う部分とは、どこの部分だというふうに考えていらっしゃるのですか?
廣瀬:堅実な成長を担う部分ですか。
池田:はい。
廣瀬:修正済み中計で想定しているように、仮にBEV化25%の世界が2030年に来たとしても、BEV一本足で収益を確保していけるわけではないでしょう。ここまでで池田さんと話し合った懸念の通り、バッテリー価格の高騰を考慮すればBEVで厚い利益を確保するのは難しくなります。そう考えると、残り75%の「内燃機関+電動化技術」がやっぱり稼ぎ頭になるはずです。
廣瀬:だから誠実に分析すれば、やっぱり内燃機関系で稼いでいかなきゃいけないですよねと。BEVの部分の25%の利益率が読めない情勢に加えて、本来手堅い利益があるはずの内燃機関系もEVに切り替えた分だけ台数が減ります。そういう環境下で、今の利益と同等以上に稼いでいこうとしたら、やっぱり堅実な成長を担うのは、ラージ系(従来の「スモール系」より大型の、後輪駆動方式を採用したマツダのモデル群。22年、23年で4モデルを投入予定)ということになりますね。ラージ系の収益力を高めることなしに、利益を維持していくことは難しいです。ここがキーだと。
池田:つまり台当たり単価を高めるというか、25%台数が減る分、より利益率の高いクルマへとシフトする戦略になるわけですね。そのためにはラージにかなり大きな勝負がかかっていると。
廣瀬:そう考えています。
池田:この先、ラージが勝負どころだと考えると、マーケットとしては、マツダにとって最大の市場である米国、そしてオーストラリアが決戦場になる、という見方でだいたい合っています?
廣瀬:だいたい合っています(笑)。特に台数の多い米国はやっぱり、人のサイズとともにクルマのサイズと馬力が、ずっと上がり続けてきたわけです。それが嗜好の中心にあって、商品選択の中心にもなっているので、そこのニーズにはやっぱり応えていきたいわけです。
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