原材料確保と将来予測が掛け違う可能性も

池田:結局、原材料が市場動向に応じてつり上げられたら、生産数量も販売価格も、計画が全部壊れちゃうから、もう鉱山のデベロップメントの段階から向こう10年とか20年、年間これだけの量をこの指し値で買うからと言って、押さえてしまおうと。現状の相場よりたぶん高いと思うんですよね。ただ、その値段を保証するからウチに必ず出せと。実は、買い上げ量と金額が長期できちんと決まっていれば、鉱山開発も投資が集めやすいんですよね。

廣瀬:そうですね。

池田:鉱山も自動車メーカーも、両方ウィン・ウィンで鉱山開発が早く進み、これまで話したようなマーケットに翻弄されない。たぶん運任せにしたくないならそれしか方法がないはずなんです。そう考えると、さっき、多くのメーカーがバッテリー工場に投資していると説明しましたが、この中で、原材料の確保をどの程度の会社がやっているのか。明日を見ないまま各社が増産に走る、という暴風雨の中で、今まで通り「原材料はマーケットから買えばいいだろう」と甘く見ているところもある、かもしれない。

廣瀬:(頷く)

池田:電池の原材料として、現時点ではリチウムはマストなんですが、もう一つキーになるのはコバルトをどうするつもりかというところで、コバルトは使わないでいいんだと言ってリン酸鉄に振っているところが結構多いんですね。ただ、これが本当にリン酸鉄がそこまでモノになるのかってまだ分からないじゃないですか。リン酸鉄より「性能的には高い」コバルト多めの三元系リチウムイオンバッテリーですら、まだ航続距離が足りないといわれている中で、それよりもさらにエネルギー密度が低いリン酸鉄バッテリーで、本当にマーケットが満足するのかどうか、というのは、やってみないと分からないですよね。という現状で、リン酸鉄での上がりに賭けて、コバルトが必須の三元系のリチウムイオンバッテリーの牌(パイ)を捨てるかどうかも判断しなくてはならない。

編集Y:手なりでそこまでツモってこられるのか、という。

池田:だからコバルトを押さえておくのか、押さえておかないのかでもすごい大きな分水嶺があって、押さえないなら三元系はやれなくなるかもしれないわけです。この辺の読みは本当に難しいですね。

廣瀬:そうですね。

池田:マツダさんはどう考えているんですか、と聞きつつも、それはたぶん絶対言えない話でしょうけど。

廣瀬:言えませんね、これは(笑)。

池田:言えないですか、そうですか。ということで、今のがアイスブレークだったと。

編集Y:ほんまかいな(笑)。

マルチソリューションで経営効率は悪化しないのか?

 メディアが「ニッポン出遅れ」の大合唱をする中で、「地球にとって最良の結果を出すためにどうすべきか」。マツダは、本当にカーボンニュートラルを達成するためには、世界の全員が参加できるそれぞれのソリューションが必要だと考えていることが分かった。

 これは、言われてみればまったく当たり前の話だが、電動化が進展する速度だけに注目している(ように見える)、大手メディアの報道を見ていると、理解しにくいことでもある。

 さて、次回のインタビューでは、マルチソリューションを進めつつ、マツダはどうやって健全な利益を上げていくつもりなのかについて踏み込んでいく。

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