昨日に続いて、自動車各社上半期決算の分析をしていこう。新型コロナ禍の影響によるサプライチェーンのトラブルによって生じた問題、それがもたらした利益への影響については、昨日の記事に詳述したので、参照していただければ幸いだ(こちら)。

前半(昨日掲載)
・三菱自動車工業(11月4日発表)
・トヨタ自動車(11月4日発表)
・SUBARU(11月5日発表)

後半(今回掲載)
・本田技研工業(11月5日発表)
・日産自動車(11月9日発表)
・マツダ(11月10日発表)
・スズキ(11月11日発表)
(ダイハツはトヨタの100%子会社化以来、決算発表は行っていない)

ホンダ、コストダウンと研究開発増強に挑む

 本田技研工業(以下ホンダ)の上半期決算解説に入る前に、ちょっと説明しておかないといけないのが、ホンダの特殊性である。事業としては四輪と二輪に加え、ライフクリエーションという汎用機械の3事業で構成されており、四輪専業の他社と水平比較が難しい。とりあえず台数については四輪以外を加えてもしかたないので、四輪のみを抜き出すが、その他の項目としてはあくまでも全社の話を前提に、必要に応じて四輪と二輪の事業を比較していきたい。

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 ということで販売台数は減だが、増収増益でまとめている。営業利益率の6.3%は理想値といわれる8%からさほど乖離(かいり)していないという意味で、良い決算だったと言えるだろう。ただし第2四半期単独での四輪の利益率は2.1%で二輪のそれは13.3%。二輪の利益率をこの高水準で維持し続けるのはそれなりに難しいことを考えると、四輪の利益率を早急に何とかしたい。利益的に二輪におんぶにだっこという状況はここしばらくのホンダの課題である。

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 売り上げの増減要因を見ていくと、やはり目立つのは「売上変動・構成差等」で、ホンダの場合そこに「市場回復による台数増」を筆頭に掲げているのが他社と違う点だ。しかし冒頭に書いた通り、四輪事業だけを見ると台数はマイナスなので、台数そのものは主に好調な二輪事業にフォーカスした言い分、ということになる。二輪事業だけで1932億円のプラスを生み出すとは考えにくいので、資料には特に記載はないが、やはり他社同様に四輪事業で台当たり単価が上がった構成差が効いていると捉えるべきだろう。ただし、二輪と四輪のどちらがプラスに支配的なのかはこの資料だけでは分からない。

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