[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]

 さて、通期の見込みを見てみよう。

 台数こそ減らす前提であるものの、台当たり利益の増加で営業収益は横ばい。他はプラスと見込んでいる。なぜこんなことができるのかといえば、減産からのいち早い回復が勝負の分かれ目になるからだ。現在世界中でクルマが品薄になる中で、生産ペースを早く回復したものは先行者利益にありつける。値引きすることなく売り上げを伸ばせる得がたいチャンスだ。生産再開が遅くなればなるほど、競合他社との競争も激しくなるわけで、そうなればまた販売奨励金を使って戦わなければならなくなる。

 ではトヨタはなぜ回復が早いのかとトヨタ首脳部に問うと、ちゃんと理由があった。サプライヤーに対して需要予測を細かくかつ長期に正確に出すことが大きいのだという。

 サプライヤーは予測が狂うことを極端に恐れる。メーカーから出された需要予測分の部品を提供できなければ、違約金が待ち構えている。しかし、そうやって指示された数量を生産できるように準備した状況で、メーカーから「思ったより売れなくて……」と言われてしまうと、それはそれで資金繰りが苦しくなる。トヨタはこの予測の精度が高い、というのだ。

 今回のように、東南アジアで新型コロナによる労働者不足が起きたときも、需要予測が正確であれば、人手の確保に全力を振り向けられる。そこに無理をする甲斐があるわけだ。売り上げが落ちて必死な状況下で予告数を必ず買ってくれるトヨタは何者にも優先されることになる。だからトヨタは部品不足の影響が少ないし、回復が早い、というわけだ。

上位グレードをうまく売ったスバル

[画像のクリックで拡大表示]

 SUBARU(以下本文ではスバル)もまた増収増益で前半をターンした。なんだかんだ言いつつも経済の底力を見せてくれるのが米国マーケットのありがたみであり、スバルにとってはその米国が生命線である。そういう意味では、心強い展開が続いていると言える。

[画像のクリックで拡大表示]

 気になる営業利益の増減がどうなっているかを順にチェックしていこう。

 やはりここでも目立つのは「売上構成差等」の項目で、台数が伸びるだけではなく、台当たり利益の伸びも大きい。むしろスバルが苦しんだのは、タマ不足である。その辺りは今回の説明資料の冒頭に書かれており、10月末の時点で、販売店在庫はわずかに4日分まで逼迫した。会社によって若干の差はあるものの、通常は40~50日分程度は在庫があるものだ。

 米国の場合、日本のように契約後に顧客のクルマを生産するのではなく、店頭にあるクルマを客が買って帰るスタイルなので、店頭に車両がない状態ではビジネスが成立しない。「4日分だったら切れていないから大丈夫なのでは?」と思うかもしれないが、車種とグレードが数ある中から選びたいのが顧客心理であり、ちょっと極端に言えば、「店に残っているものからしか選べない、閉店間際のパン屋さん」みたいなことになっていたわけだ。