営業利益は、前期のマイナス953億円から当期は873億円へと1826億円のプラスで、この結果営業利益率は4.3%と、前の年が赤字決算であったとは思えない水準に回復した。当然経常利益も前期のマイナス1052億円から当期は1010億円と2062億円も増えた。当期純利益もプラスに転じて、台数、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、すべてがプラスに転じたミラクルな決算といえる。

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 どうしてこんな決算が可能になったのか。左端の柱が前期の営業利益で、当然マイナスからのスタートとなるのだが、こんな「営業利益変動要因分析」の図はなかなか見た記憶がない。すべての項目がプラス。下げ要因が一つもない。

台数主導の回復、新型車投入が功を奏す

 ポイントをかいつまんでいく。「台数」の伸びがスゴい。対して「MIX/売価(1台当たりの売り上げ)」はそれほどでもない。つまり三菱自の当期決算では、台数の増加が効いているのであって、MIX/売価は意外に貢献していない。当期の自動車各社決算では、全体に1台当たり利益の伸びが支配的であったので、珍しい形だといえる。

 三菱自自身の説明によれば、好調なエリアでは、需要の回復をベースに、新型「アウトランダー」や「エクスパンダー」、「アウトランダーPHEV」の投入による新型車効果があり、一方、マイナスに沈んだ中国と欧州ではそれぞれ、モデルサイクルの端境期と事業再編中という自己分析になっている。数字上、もう一つ大きいのは為替の差益だが、こちらは基本的に企業努力のらち外。毎度書いているが宝くじのようなもので、分析しても仕方ない。

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 そのあたりを確認できる別の資料がこちらだ。売上高でも、利益でも、アセアン、北米、豪州の3地域が好調なことが見て取れる。少し乱暴かもしれないが、北米と豪州は「アウトランダー」およびそのPHV(プラグインハイブリッド)のSUV(多目的スポーツ車)モデルが、アセアンではMPV(マルチパーパスビークル)モデルの「エクスパンダー」と、根強い需要がある商用ピックアップトラックの「トライトン」がけん引している図式だ。

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 さて、この当期の実績を踏まえた、現在進行中の今期はどうなっているのだろうか? 見通しなので、当期実績と比較した数字である。

 売上高は、 2兆389億円から2兆2900億円へプラス12%の伸び。営業利益は873億円から900億円へと3%の伸び。経常利益は1010億円から930億円で、こちらはマイナス8%。

 アセアン地域の経済活動正常化、2021年11月に投入した「エクスパンダー」の新型車効果、販売の質の改善、で増益を見込むとのこと

 数字の変化を追ってみると、台数が伸びて売り上げは増えるが、営業利益はほとんど増えず、営業利益率は4.3%から3.9%へとダウンする。連載を読んでいる方にはもはや解説する必要もないかもしれないが、部品と原材料価格の高騰で、せっかくの売り上げ増の効果をほぼ削られてしまうということだ。このあたりは同業各社とも同じで、それでも三菱自は見込みとはいえ、営業増益を維持できる予定である。本当にプラスで確定させたら立派といえる。

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