(資料:スズキ)
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 構成と台数の関係を別の資料からも確認しよう。本当にスズキの資料は良い。ここも「通期生産実績」と「通期販売実績」の両方が実数入りで記載されている。他社の場合はどちらかしか資料がない場合も多く、代用は利くが、多少なりとも誤差が出る。

 一番上に書かれている増加率に注目する。当記事の最初の表の売上高の増加率12.3%と「通期販売実績」の増加率5.3%を比べれば販売台数増加より売り上げの増加の方が伸びが大きい。すなわち、台数より構成が効いていることが分かる。

 構成の増加で増えるはずの営業利益の増加率がマイナス1.5%になっていること、そして生産実績のプラス6.4%でそのマイナスが台数減によるものではないことが確認できる。増産しているにもかかわらず営業利益が下がっている。これが原材料価格高騰の影響だ。そして細かい売上高の状況が知りたければまた別の図がある。

(資料:スズキ)
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 ということで、いよいよ当期の経営内容の確認だ。「連結:営業利益増減要因(通期)」を順に見ていこう。

スズキが他社と違う理由

(資料:スズキ)
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 左端のグレーの柱が前期実績。右端の柱までトータルでマイナス29億円となっている。その増減内容はどうなっているのか? まずは「売上・構成変化等」。これはここまで書いてきたように、台数は増加、構成も増加で、構成の伸びがより支配的だ。それによって1415億円のプラス。為替も追い風で425億円プラス。ものづくりの領域でのコストダウン「原価低減」でも292億円のプラス。ここまではプラス要因だ。

 マイナス要因を見ていくと、最大の項目は「原材料価格変動」のマイナス1283億円。次に「諸経費等の増」でマイナス389億円。内訳を見ると「発送費」の値上がりが大きい。次いで大きな営業政策費、労務費はおそらく生産ラインが止まったり動いたりでバタバタした結果で、品質関連費用は前期のリコール対策が終わって当期に浮いた分である。全体を眺めてひと目で分かるのは、やはり原材料価格高騰のインパクトが大きかったということだ。

 さて、全体の話はここまででつかめたはずだが、スズキという会社には他の会社と色々違う特徴がある。

 日本の自動車メーカーが世界の自動車メーカーと違うところは何かと聞かれれば、ほとんどのメーカーが2つの母国を持っていることだ。

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