5月13日、マツダの決算説明会が開催された。前回の記事ではトヨタ自動車(以下トヨタ)の圧倒的な決算を解説したが、当期の決算において、もう1社勝ち組を挙げるとしたらマツダである。まあさすがにトヨタほど可愛気のない勝ちっぷりではなく、粗もあるものの、耐えに耐えて長いトンネルをくぐり抜け、ようやく陽の光を浴びたその結果には、ちょっと感動すら覚えるものだった。

 以下に、今回の決算分析記事における決算期の表記定義、および各社が直面した共通の経営課題をサマリーにした箇条書きのテンプレートを貼っておく。

■用語定義

前期決算:2020年4月~2021年3月
当期決算:2021年4月~2022年3月
今期決算:2022年4月~2023年3月

■当期における自動車メーカーの経営課題サマリー

・新型コロナ禍によって国際分業先にロックダウンが発生し、生産が滞った結果、部品不足(半導体、樹脂製品、ワイヤーハーネスなど)が引き起こされた。

・併せて、ロックダウンした国の港で荷揚げができず、流通が大停滞。船便とコンテナの回転が共に止まり、生産には制約が発生していない原材料までが、ロジスティックの問題で滞った。

・その結果、傾向と対策が立てにくいランダムな部品不足が発生して、クルマを生産できない事態が勃発。生産ラインの停止が頻発した。

・それら複数の要因により原材料の奪い合いが発生し、輸送費を含む原材料価格が急騰した。

 これが当期の自動車製造業における中核的問題であり、それらを各社が様々に工夫を凝らして、乗り越えようとした成果が当期決算に表れている。

(資料:マツダ、以下同)
(資料:マツダ、以下同)
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 さて、マツダがここしばらく取り組んで来た課題は何かということが実は決算資料の第1ページに書かれている。図中に書かれている項目を改めて本文で書くこともないのだが、これが実によくマツダの課題を捉えているので、あえて抜き出しておく。

1. ブランド価値向上への投資
2. ブランド価値を低下させる支出の抑制
3. 固定費/原価低減を加速し損益分岐点台数を低減

 記事を読み出したばかりの今はピンとこないかもしれないが、全文を読み終わった後、戻ってこの3つを見ると、言葉の重さが沁みてくるはずだ。というかそういう記事が書けないと筆者の負けである。いやいや自分でハードルを上げてどうすると思いつつも自分で自分にねじを巻くつもりで宣言しておく。

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