(決算特集での用語の使い方、全社共通の概況などは第1回を→「2023年3月期、自動車会社に吹いた追い風と逆風」)

 マツダは増収増益の決算発表を行った。印象としては、一連の新型コロナ禍に付随する諸問題をクリアして、ついに反転攻勢に入った形に見える。ただし、第6世代の車種が絶好調だった、2017年ごろの勢いにはまだ及ばない。

ベストイヤーの2016年3月期と比べてみると

 ということで基礎的なデータを見ていこう。

 グローバル販売台数(カッコ内は対22年3月期、以下同):111万台(89%)

 売上高:3兆8268億円(+7065億円)

 営業利益:1420億円(+378億円)

 営業利益率:3.7%(+0.4ポイント)

 当期純利益:1428億円(+612億円)

 数字を見る限り、前期(22年3月期)との比較では好調であり問題なく見える。あとは見る側がマツダの本来のポテンシャルをどこに置くかによる。

 例えば筆者の記憶の中で、マツダの決算のベストイヤーは16年3月期で、ちょうど第6世代商品の黄金期を迎えていた頃だ。当時の基礎的データを抜き出すと、以下のようになる。

グローバル販売台数:155万台

売上高:3兆4066億円

営業利益:2268億円

営業利益率:6.7%

当期純利益:1344億円

 特にこの年の営業利益率は、例年に比べて突出していた。これはあくまでも瞬間風速だと言われればそれまでなのだが、当時は、「そろそろ生産キャパシティがいっぱいなので米国アラバマの新工場が完成するまでは、販売を抑制的にするしかない」という発言まで出る勢いであった。

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