さて、今年もまたこの季節がやってきた。覚悟していたとはいえ、ゴールデンウイーク明けのこの時期には、国内自動車メーカー7社の決算解説が始まる。
と聞いて「日本には自動車メーカーは8社あるのでは?」という方。その通り。何故ダイハツ工業(以下ダイハツ)の決算解説がないのかと言えば、2016年8月1日に、ダイハツはトヨタ自動車(同、トヨタ)の100%子会社になっているので、トヨタ以外に株主はいない。それに伴って、上場廃止になっているので、以来、決算発表もなくなった。その結果、決算発表順に並べると、三菱自動車(三菱自)、トヨタ、スズキ、SUBARU、日産自動車(日産)、マツダ、ホンダの7社となっているのだ。

今回の記事の意図するところは、各社決算の分析に入る前に、その前提となる今年の外的要因をまとめて書いてしまおう、ということである。それをあらかじめやっておかないと、各社の記事に同じ話を何度も織り込むことになって煩雑になるというのが一つ。そして、読者のみなさんも、最初から外的要因が頭に入っていると数字の持つ意味が理解しやすくなると思われるからだ。
21年4月から22年3月期を「当期」と呼びます
ちなみにこの「期」の呼び方がややこしいので、記事内の定義を書いておく。直近の決算発表対象の期は21年4月から22年3月までだが、その呼び方の流儀には2派がある。
・「22年3月期」派:トヨタ、スズキ、マツダ、SUBARU
・「21年度」派:ホンダ、日産、三菱自
なのだが、これから書く7社の記事で各社ごとの呼び方に準拠すると表記に揺らぎが生じて読者が混乱するし、どちらかに統一すると、引用する決算資料の表中の記載と食い違う。面倒なことこの上ない。
なので、筆者独自のルールを決める。本記事で主題となる21年4月から22年3月の決算期を「当期」と呼ぶことに決める。よって、5月に各社から発表された決算報告は当期決算だ。
一方、4月1日を過ぎている現時点において「今期」とは現在進行中の22年4月から23年3月期のこと。「通期予測」にのみ出てくる話なのだが、それを説明なしに「今期」と書くと、読んでいる方が、この5月に発表された決算期の話と混乱しやすい。
「当期」と「今期」は同じ意味に聞こえるのだが、決算用語で「当期純利益」のように使われているので、「当期」は最新の決算書の対象年度、「今期」は現在進行中の会計年度という用法で書くと決めさせてほしい。ついては、当期と比較される直前年度を「前期(20年4月~21年3月)」とする。それより前は頻出しないので、19年4月から20年3月期と具体的に書く。
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