[画像のクリックで拡大表示]

 これらの利益がどの部門で発生しているかはこの図から分かる。要するに売上高も利益も四輪部門の功績で、二輪はほぼ貢献していない。この構図はホンダと逆で、ホンダの利益はその多くが二輪部門によるものである。マリン部門は手堅い。売り上げでも利益でもプラスを出している。だが全社のそれへの寄与率は小さい。

[画像のクリックで拡大表示]

 部門に次いでエリアである。スズキはどこで稼いでいるのか、これは日本とアジア。スズキの場合「アジア」とは「インド」のことで、中国はすでに撤退済みなので関係ない。というあたりの内訳が見えてくるのが、もう1つの図。

[画像のクリックで拡大表示]

 世界販売257万1000台のうちインドが132万3000台とほぼ半分を占め、これに日本の64万7000台を加算すると76.6%に達する。スズキはインドが命綱であり、次いで日本。この2カ国で問題が発生すると非常に苦しくなる。ただしこれでも、一般論として欧州市場で弱い日本メーカーにしては「ヨーロッパに強い」部類に入ることも付け加えておきたい。

業績予想が出ないのも無理はなく……

 さて、スズキは今回も、次期業績の予想を見送った。他社に比べ、スズキは見通しが難しい。インドで3月頃から、新型コロナの爆発的再拡大が発生しているのはご存じの通りで、5月には連日3000人を超える死者が出ていると報道されている。さらに、スズキは関係会社とともに、4月末から、医療用酸素不足の解消に少しでも貢献するために、工場の操業を止めて工業用に用いていた酸素を医療用に供出する決定をした。

 そして、スズキの業績の半分はインドにかかっている。インドでの新型コロナの再拡大の収束が見通せない今、業績予想を立てるのは非常に困難であるのは理解できる。

 さて、総評としては、スズキは21年3月期、減収ながら増益を達成し、難局を乗り越えたのだが、不幸にして、最大の市場における新型コロナの再拡大と、世界的な原材料、中間部品の品不足、そして価格高騰に襲われながら、今期を乗り切らなければならない。心からその健闘を祈りたいと思う。

最後に各社のコンセプトモデルを紹介しているのだが、スズキはそんなことにお金を使う気がないようだ(それはそれで1つの判断だと思う)。今年の4月2日に国内累計販売台数100万台を達成(2013年3月の発売から8年2カ月での達成)した「スペーシア」を載せておく
最後に各社のコンセプトモデルを紹介しているのだが、スズキはそんなことにお金を使う気がないようだ(それはそれで1つの判断だと思う)。今年の4月2日に国内累計販売台数100万台を達成(2013年3月の発売から8年2カ月での達成)した「スペーシア」を載せておく

この記事はシリーズ「池田直渡の ファクト・シンク・ホープ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。