続く「減価償却費の減」は少々意味不明である。減価償却とは資産価値のある設備投資をした際に、その価値を会計ルールの年限で減らしていくことで、例えば100万円の機械を購入して、その減価償却期間が5年なら、年間20万円ずつ、資産にカウントされている機械の資産価値が下がっていくということだ。細かいことを言えばパーセンテージで償却する定率法と毎年同額を償却する定額法がある。専門家に突っ込まれたくないので、例に示した定額法だけじゃないよと一応書いておく。

 減価償却とはそういう性質なので、危機がやってきたからといって、単年で急に減らすことは難しい。もちろん新規に検討していた設備投資を先送りにすることはできるが、よっぽど極端にペースを変えないと371億円は減らせない。おそらくそんなことをしたら今後の事業計画に支障を来す。

 あるいは、単純に貸借対照表に載っている資産を売って現金化すれば可能かもしれないが、自動車メーカーが使うような特殊な装置が、大急ぎの換金で高値で売れるはずもなく、換金すればまず間違いなく損をする。よっぽど帳簿の形を整えるのが急務でない限りそんなことはしない。

コロナ禍で設備投資が止まる

 分からないのでここもスズキに聞いてみたところ、新型コロナの影響の多面性をあらためて知ることになった。

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