トヨタ自動車(以下トヨタ)のミニバン、ノア/ヴォクシーがとんでもなく変わった。口の悪い表現をすれば、クルマに近い何かから、ちゃんとクルマの仲間になった。

なんてことを書くと、あちこちから怒られるのだ。なに、本気でちゃんと書けば、自動車メーカーは怒らない。トヨタC+podの記事のタイトルに「全力で(購入を)止めたい」と付けても怒られなかったし、マツダ3のディーゼルも「(購入は)ちょっと待った」と書いても怒られなかった。むしろ、どちらも担当エンジニアがしっかり話を聞きに来て、必ず改善すると約束した。
怒るのは大抵、現オーナーの読者である。まあ自分の所有車をダメだと言われれば腹も立つと思う。でもそれに気を使っていると「世の中のクルマはぜんぶ良い」という話になってしまう。なので「こいつとオレはクルマ選びの基準が違う」と思って諦めてほしい。
さて長々と言い訳を書いたのは、旧モデルのノア/ヴォクシー/エスクァイアのどこがどうダメだったのかを、理由と共にがっつり書くからだ。そこが分からないと新型がどうして良くなったのかを理解することができない。ちなみにこういうことを書くと「新車で出た時にちゃんと書け」という声が上がるが、ご心配いただかなくても大丈夫。当時から書いている。
ミニバンは設計者にとっての悪夢(ナイトメア)
世の中の子育て世代に大人気のミニバンだが、エンジニアにとってはナイトメアそのものだ。7人も8人も人が乗るということは法定の車両総重量で簡単に2トンを超える。法律では人は1人55キロということになっているが、現実を考えればもっと重いことも普通にあるだろう。人が移動すれば荷物もある。
そんな重さでも、ちゃんと山道も登らないといけないし、それなりの出足も求められる。もちろんちゃんと止まらなければおおごとだ。重いし重心も高いので、ロール対策でアシを硬めたいが、1人乗車の時でもバランス良く走らせなくてはならないし、何よりファミリーユースなので乗り心地が硬いとクレームが出る。
出足とロールだけじゃない。それだけの重量対策をしなければならないのに、燃費も良くないとダメなので排気量も増やせない。
こんなのは序の口で、まだまだ無理難題がある。
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