シリーズ
池田直渡の ファクト・シンク・ホープ

池田直渡氏はクルマが好きで人生を賭けてしまった人だが、工業製品、あるいは趣味としてのクルマを基点にしつつ、そのクルマがこうなった経済的、ビジネス的な事情を見たい、という好奇心と、能力を持っている希有な存在だ。かねてライバル媒体での連載を愛読して歯ぎしりしていたが、この度「クルマ好き」のビジネスパーソンが多い日経ビジネス電子版の読者のために、3年がかりで口説き落として連載を受けていただいた。
基本コンセプトは「事実を基点に、論理的に考察し、希望を持って語る」。ぜひご愛読、ご叱正をお願いしたい。(担当編集Y)
46回
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謎は解けた! マツダがCX-60のリアサスでやりたかったこと
筆者は尋ねた。「そんなに対地キャンバーの変化とトーコントロールにこだわるなら、いっそド・ディオン・アクスルにすればよかったじゃないですか?」。それを聞いた虫谷さんは画面の中から満面の笑みで言った。「そうです。ド・ディオン…
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CX-60の記事を書こうとしたらとんでもないことになった
さて、各方面から「どうして池田はマツダCX-60について書かないのだ」という突っ込みを受けまくっていたわけだが、ちょっと本人も困っていた。公道試乗会に出向いたのが9月1日。そこでどうしても納得がいかないクルマの出来を見つ…
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テスラの「レーダー外し」をつらつら考えてみる
米国の電気自動車メーカー、テスラは、「モデル3」と「モデルY」へのミリ波レーダーの搭載をやめる方針を打ち出した。オートパイロットのセンサーをレーダーとカメラの2系統から、カメラのみのシステムに改めるということだ。
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クラウン・セダンは水素物流の夢を見るか?
今回のお話はまずクラウン・セダンである。保守的と言いつつテールにノッチバックがないあたりは、ガチガチの保守というわけでもない。はて、しかしこのサイドビューのシェイプはどこかで見たような……。
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三菱自の急回復、電動化“以外”の戦略も見たい
当期(2022年3月期)の決算において、予想を超えて回復したと言えばまず三菱自動車だろう。正直なところ、筆者はこんなに短期間で数字を立て直してくるとは思っていなかった。お見事である。
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SUBARU、一人負け決算は何を物語るのか
利益率の高さを誇ってきたSUBARU。値引き率はこれ以上下げられなくても、上のグレードや上位車種にスライドしてもらう方法は取れる。もし、それが効果を上げられないのだとしたら……。
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健闘、されど見通しが厳しいホンダの決算
実は、当期(2022年3月期)の決算で一番分析が難しいのがホンダだ。決算としては増収増益。しかし今期の見通しは相当苦しそうな予測をホンダ自身が立てている。全体としてはまだら模様で、上げ基調か下げ基調かの先行きがとても読み…
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転んでも絶対タダでは起きないスズキの決算
実は決算資料にはかなり各社の体質みたいなものが表れていて、それだけ見ていても面白い。スズキの資料には本当に正直な事実が手加減なく、かつ親切に書かれていて、読み解き技術もほとんど要らない。
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日産の決算は、過去の呪縛を切り離す戦い
日産自動車の決算には、「過去の日産」と「現在の日産」が激しく対立する姿が浮かび上がる。要するに日産の経営方針は過去と現在で正反対と言っていいほど違うのだ。まずはそこを解説しなくてはならない
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マツダ、雨にも風にも不運にも負けず好決算
トヨタともう1社勝ち組を挙げるとしたらマツダである。まあさすがにトヨタほど可愛気のない勝ちっぷりではなく、粗もあるものの、耐えに耐えて長いトンネルをくぐり抜け、ようやく陽の光を浴びたその結果には、ちょっと感動すら覚えるも…
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トヨタ決算に見る、運を天に任せない経営
営業利益は2兆9956億円で、わずかに3兆円に届かなかったが、前期に対して約8000億円の上げ幅を記録した。コロナ禍が完全解決したどころか、まだまだ問題が山積している中で、どうしてこんなことが可能だったのかは、しっかり考…
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自動車各社の2021年決算、まずは総括から
今回の記事の意図するところは、各社決算の分析に入る前に、その前提となる今年の外的要因をまとめて書いてしまおう、ということである。読者のみなさんも、最初から外的要因が頭に入っていると数字の持つ意味が分かりやすくなると思われ…
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マツダ廣瀬専務の発言を、CX-60の試乗で検証する
当連載では、2021年11月24日から10回連続でマツダの専務執行役員、廣瀬一郎氏にインタビューを掲載した。大変僭越ながら、その際に廣瀬専務が答えてくれた諸々が、実際にCX-60に乗ってみてどの程度現実になったのかを検分…
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トヨタ・ノア/ヴォクシー、ミニバンの悪夢からの脱却
本気でちゃんと書けば、自動車メーカーは怒らない。怒るのは大抵、現オーナーの読者である。でもそれに気を使っていると「世の中全部良いクルマ」という話になってしまう。なので「こいつとオレはクルマ選びの基準が違う」と思って諦めて…
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電機敗北のトラウマが見せる「ソニーが自動車会社に」幻想
ソニーが、ついに自動車メーカーとして名乗りを上げた。守旧的な故に滅びに向かっている旧来型日本車メーカーに代わって、ニッポンの守護神として、GAFA的ビッグテック企業に立ち向かうのだ。みたいなストーリーが散見される。
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「EV30車種投入」報道に見るトヨタへの誤解
「トヨタがやっとEVに本気になった」「トヨタはようやくEVに舵を切ったが遅きに失した」とか「グリーンピースの指摘を受けておっとり刀でHEV(ハイブリッド車)からEVに方針転換した」という見方は、情報収集の貧弱さを露呈する…
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コインパーキングでも分かる「いいクルマか否か」
元旦掲載のこの記事、編集担当のY氏からは「読者の皆さんへのお年玉として、池田さんの“基準”になっているクルマについて書いてくれませんか」というオファーがあった。まあ自分自身も編集者なので言いたいことは分かる。
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トヨタ? マツダ? 今年読まれた「ファクト・シンク・ホープ」
年の瀬も押し詰まってきた。連載開始の1月以来1年間、読者の皆様にご愛読をいただき誠にありがたい限りだ。2021年を振り返りつつ、この連載ではどんな記事が読まれたのかを編集部に調べてもらった。
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欧州のマツダには「変態開花装置」みたいなものがあるらしい
私はずっとエンジニア、自称「箱入りエンジニア」だったんですね。52歳になってフランクフルトにあるマツダ・リサーチ・ヨーロッパ、研究開発拠点センターの所長で2年間行ったんです。
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「自動運転」の前に、マツダのクルマができること
いたずらな自動化競争ではなくて本当にいざというとき、エマージェンシー際にお客様を助けるその技術こそが必要だよねと。だからそういった意味で「コ・パイロット」と言っているわけです。
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