日本の女性は損をしている
議連を通じ、こうした規制に関わっていくこともあるということですか。
野田氏:ナプキンは医薬部外品、タンポンが医療機器。許認可を受けたことによって生理に使えるという効果効能をうたえるけれど、ナプキンのいらないショーツは許認可の問題から「生理用に使えます」と言えないのです。
議連を通してようやく公の場でこうしたやりとりができるようになりました。諸外国の同じ世代の女性たちには、子宮脱を予防する医療機器など様々な製品の選択肢があって、自分なりに生産性を上げています。そうしたなか、日本の女性だけが知らされずに、損をしている。選択肢があれば、例えば生理や妊娠の大変なときも過ごしやすくなるのではないでしょうか。
女性に選択肢が少ないというのも事実としてあります。加えて、女性の公的な地位での社会進出はまだ日本では途上にあります。
野田氏:例えば政治という仕事にも性差をつけてしまい、男女ともに女性が選択する仕事ではないとの思い込みがあります。女性が当たり前に生きるためには、こうした考えが当たり前だと思い込んでいる女性も変えていくことも欠かせません。私は女性活躍担当大臣になりたいのではなく、「女性当たり前担当大臣」になりたいですね。
議員をやっていて思うのは、女性の公的・社会的な地位や給与は、男性の7~8割掛けかなということ。民間企業の平均所得でも女性の方が安い。男性にも育休を取らせるべきだというのは理解できますが、所得の低い方が育休を取った方が家計には響かない。こうした不自由や不安は女性が背負ってきました。
私はフェムテック議連以外に、乳がんや子宮頸(けい)がんの検診促進議員連盟にも関わっています。男性にはない検査項目のため、これらの健康診断はオプションになっています。世の中には女性の気が付かないうちに、長年当たり前化していることがあります。消費者の半分が女性ということを考えれば、女性がハッピーになるようなものの需要が景気につながる。女性の需要に応えることが日本の経済を変えていくのではないでしょうか。
議連を通じ、やり遂げたいこととは何でしょうか。
野田氏:まずは「フェムテック」という言葉を一般化させ、女性が自らの意思で健康や体を守れる製品があると知ってもらうこと。現在は変なところに規制があり、守られるべきところに規制がない。その不安定な状況を変えたいですね。フェムテックで新しい需要が増え、女性も自ら健康管理できるようになってほしいのです。
これまで大学で学んだ政治や経済、宗教、教育などの本はほとんど男性が書いたもの。ジェンダーという話になると女性が出てくるけど、経済学なんて特に男性ばかりですね。どの本にも女性の息吹がない。そのような教養ではこれからの時代には全く対応できない。そう思わないと私の存在意義がありませんけどね。

「女性議員といえば野田さん」と言われますが、正直、嫌にならないですか。
野田氏:最近はそう言われなくなって、残念だなと思っているくらい(笑)。ただ、これは自分が背負った定めです。なぜ言われるかというと、誰よりも当選しているから。それは私の誇りであるし、勲章。獣の道をもうブルドーザーのようにわしわしと掘ってきたわけですから。
女がつらいって思ったことはありませんが、面倒くさいっていつも思っていました。式典の会場でもトイレは少ないし、酔っ払った有権者にパンツ見せろと言われたこともありました。そんなセクハラもあったけれど、今の私は「NO」と言えます。女性が抱える多くの生きづらさ、面倒くささを、男性と同じ気楽さにするのが私の仕事。自分で自分の身を守る選択肢を女性のために増やしていくことが、第二の人生かなと思っています。
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