今回の危機は発電設備の不足ではなく燃料の不足
電力不足が顕在化してから、「原子力発電所が稼働していないからだ」「再生可能エネルギーが増えすぎた」「石炭火力のフェードアウトなどと言っているからだ」といった意見が増えてきている。
だが、今回の危機の原因はあくまで燃料の不足。発電設備(kW)の議論ではなく、燃料(kWh)の安定性について考えなくてはいけない。
電力システム改革とともに再エネが増え、自由化が徐々に進んでいる。この過程で、国は安定供給を担保するために供給力の議論をしてきた。容量市場や需給調整市場の導入は、いずれも「kW」を維持するためのものだ。
だが、今回のように発電設備は動かせる状況にあっても、燃料不足で動かないのでは意味がない。
ある大手エネルギー幹部は、「国や一般送配電事業者の関心が発電設備(kW)の維持に偏重する中、燃料の供給安定性の検討が必要だとかねて国に具申してきた。今年1月からLNG確保についての勉強会をすることになったところだった」と明かす。
日本の電力システム改革は道半ば。そして、世界は脱炭素社会へ向かって動き出している。今回の電力危機を経て、燃料の問題、ひいては市場設計の不備を整え、エネルギー市場がより良い市場へ進化することを望んでやまない。
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