不動産、商社、金融、電力、航空──。今、業界をまたいで大企業で相次いでいるのが、20~30代の社員が経営トップを務めるスタートアップの設立だ。

 コロナ禍でますます必要性が高まるデジタル化だが、大企業の50代以上の経営陣に大胆な改革を求めようにも素養が不足している。そこで、フットワーク、意欲、デジタルの知識、社内の政治力をちょうど兼ね備えた若手社員を子会社などの社長に抜てきして、革新的なビジネスを発掘しようという狙いだ。同時に若手人材の育成も期待できる。先行きが見通せない時代に、新たな企業経営のスタンダードとなるか。

 東京・渋谷のフィットネスジム「ZEROGYM SENDAGAYA」。肩こりや腰痛を解消する独自のトレーニングが、働き盛りの男性会社員らに人気だが、最近女性の割合が増えている。

三菱地所の社員が立ち上げた「GYYM」を使えば、非月額会員でもジムの空き枠を予約できる
三菱地所の社員が立ち上げた「GYYM」を使えば、非月額会員でもジムの空き枠を予約できる

 月額会員以外が利用できるようジムの空き枠を掲載するウェブサイト「GYYM(ジーム)」の効果が大きい。GYYMを運営するのは、三菱地所の子会社だ。加川洋平氏(34)と橋本龍也氏(32)が同社内で提案、三菱地所の社員とGYYM運営会社の代表取締役を兼任する。

 GYYMのサイトには暗闇フィットネスやヨガなど女性に人気のジムが並び、仕事帰りや在宅勤務の合間の利用が増え、知人同士の連れだっての利用など、今までにない活用シーンも出てきた。2020年1月にサービスを開始し、掲載ジムは約130店、会員は9000人に近づいている。

 コロナで提携ジムの休止や閉店という逆風があったが、夏以降は客離れが起きたジムが稼働率の向上や潜在顧客の獲得を期待して、GYYMとの提携が加速している。

 ただ、消費者向けのITサービスは、「丸の内の大家」として知られる三菱地所の本業と縁遠い飛び地だ。しかも、若手2人は「特別起業したいと思ったことがない」(橋本氏)という。なぜ社員が起業して、社長を兼任することになったのか。三菱地所にどんなメリットがあるのだろうか。

既存事業の延長戦でなくていい

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