日本は今、2つのディスラプション(破壊)に直面している。1つは高齢化・縮小社会、もう1つはデジタルトランスフォーメーション(DX)である。これらは、しばしば2つの別々の危険で有害な脅威とみなされてきた。DXは、プライバシー保護、格差解消、雇用の安定性などに対する脅威とみなされ、人々を不安にさせる。多くの人が、ロボットに支配される未来に思いを巡らせている。

 DXを進めるためには、新たなスキルの習得のためにトレーニング、教育などを受けることも必要になる。企業にとっては、ビッグデータ、クラウド、IoT(モノのインターネット)、スマートシティなどの新技術をめぐる競争、とりわけ中国や米国を相手にしたグローバルな競争の中で、いかにして生き残っていくかが目下の関心事だ。

 一方、高齢化社会では、人口減少のほか、労働力不足や生産性の低下が懸念される。若者よりも高齢者の方が多くなっていく中で、年金制度はもつのだろうか? 将来の政府の財政状況はどうなるのか? 誰が高齢者の面倒を見るのか、地方はどうなるのか。

なぜ「ステキなタイミング」なのか

 筆者はここで、現在の日本で「KAISHA再興」を実現するために、少しユニークな提案をしたい。日本は、高齢化で世界の先頭を走っている国という点で、極めてユニークな立場にある。高齢化に伴う労働人口の減少が、他の先進工業国よりも早く起こっている。この人口変化が、DXと全く同じタイミングで到来したことは、日本にとって、まさに「ステキなタイミング」である。

 それは、2つの脅威を別々のものとして捉えるのではなく、一方がもう一方の問題を解決するのに役立つ機会と考え、両方の強みを生かす、ということである。

 2つのマイナスが掛け合わさって、1つのプラスになる。つまり、日本がこの「ステキなタイミング」をつかむことができれば、2つの同時多発的なショックが、社会の転換点にちょうど訪れたことになるのだ。

 つまり、それぞれがそれぞれに、互いの問題を解決する力があるということだ。まず、高齢化と共に縮小していく社会の不安は、DXで解決できる。

 ロボットというと高齢者の家事代行というイメージがよく語られるが、ここでは違う視点の話をしたい。DXはロボットヘルパーよりも、もっと根本的な解決をももたらすからだ。DXは、後継者不足の問題を自動化によって解決しうる。というのも、自動化が生産性と効率を高めることから、人口減からくる生産性の減少をかなりカバーできるからである。

続きを読む 2/4 例1:日本の伝統的な卸売業界

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り4772文字 / 全文4823文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ウリケ・シェーデの「再興 ザ・KAISHA」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。