日はまた昇るといわれて早30年(写真:PIXTA)
日はまた昇るといわれて早30年(写真:PIXTA)

 初めまして(日経ビジネスオンライン時代からの一部読者の方は、お久しぶりです)。米カリフォルニア大学サンディエゴ校の経営学者、ウリケ・シェーデです。日本企業論の専門家として、欧米のビジネス概念やフレームワークを、日本企業や日本のビジネスの分析に応用しながら研究しています。 一橋大学で大学院生として過ごし、教授を務めた経験もあるので、日本での研究期間は合計9年以上になります。

 最近の研究テーマは、日本のビジネス再興です。2020年には夫である米スタンフォード大学経営大学院教授のチャールズ・オライリーと、加藤雅則氏との共著で『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』(英治出版)を出版。両利きの経営の実行と社内の仕事のやり方、企業カルチャーの変化についての最近の分析は、こちらを参照してください。

 この連載では、日本の経営・雇用・イノベーションの現状分析を紹介していきます。

なぜ日本がまだ世界にとって大事な存在なのか

 外国人が、日本経済について書かれた書籍やニュースなどを読むと、たいてい「失われた」とか「遅れている」とか「低い」といったネガティブな言葉にあふれている。無理からぬことだ。なぜなら、外国人の情報源は日本発のニュースであり、日本人も自分たちの経済について悪いことばかり読み、発信しているからだ。

 「失われた20年」、すなわちデフレ、低生産性、成長の停滞、人口減少、地域の衰退などなど、ネガティブな要素はたくさん挙げられる。確かにこれらはすべて事実であり、懸案であり、解決には新たな政策が必要だ。

 ここで問題になるのは、日本の経済状況がそれほど悪いのなら、なぜ世界第3位の経済大国であり続けていられるのか、という点である。日本は、規模からして決して大国ではない。人口で見ると11位(ここを参照)、労働力人口では8位(ここを参照)である。それなのに、中国の三大都市を合わせた規模に匹敵する労働力を持つ日本は、世界第三位の経済大国なのだ。そしてそれは、20年間、経済の悪いニュースが続いたあとでも真実である。どうしてそんなことが可能なのだろうか? データを取り上げながら考えてみよう。

●図1 世界GDP(総生産)の内訳(2017年)
●図1 世界GDP(総生産)の内訳(2017年)
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続きを読む 2/4 日本の新しい「二重構造」 : 20-80の法則

この記事はシリーズ「ウリケ・シェーデの「再興 ザ・KAISHA」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。