失われた30年、停滞ばかりが世界中に喧伝(けんでん)される日本経済。自虐的な日本観が蔓延(まんえん)する風潮に異論を唱えるのが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校で、日本企業論を専門とするウリケ・シェーデ教授だ。シェーデ教授は本連載で、今なおなぜ、日本が世界にとって重要なのか、そして日本再興の処方箋は何かについてデータや研究に基づき解き明かしていく。シェーデ教授は、「両利きの経営」の提唱者として知られる米スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授の妻である。不定期連載。(写真:PIXTA)
シリーズ
ウリケ・シェーデの「再興 ザ・KAISHA」

8回
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KAISHA再興、「DX+高齢化」同時到来は「ステキなタイミング」
日本は今、2つのディスラプション(破壊)に直面している。1つは高齢化・縮小社会、もう1つはデジタルトランスフォーメーション(DX)である。この2つが組み合わさることで、危機がチャンスに変わる「ステキなタイミング」が社会に…
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総合職の副業・兼業が、日本にイノベーションを生み出す
最近、日本では副業・兼業が話題だ。筆者は外国の日本企業研究者の視点から、「総合職兼業」という新しいスタイルを認めることが大企業やその社員、そして日本経済にとって極めて重要だと考えており、今回はその理由を書きたい。具体的に…
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トヨタ経営の「フルモデルチェンジ」はいつか
筆者は前回、デジタルトランスフォーメーション(DX)における新しいビジネスモデル設計に必要な、5つのステップを紹介した。今回は、楽天のケースで具体的にこのステップを解説していきたい。
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DXとサービス化で日立やトヨタが仕掛ける「KAISHA再興」の姿
DXとサービス化のトレンドの中、トヨタ自動車や日立製作所、パナソニック、コマツ、AGC、NECなど、アイデンティティの変更に迫られた企業も枚挙にいとまがない。こうした企業は、環境が激変する中で、製造業から主にサービス業へ…
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大企業のイノベーションとは、会社のつくり直しである
日本は「大企業病」にかかっているという論評がよく聞こえてくる。凝り固まった組織や窮屈な人事制度を指すのであれば、それは事実かもしれない。しかしベンチャー企業の育成など解決を組織の外部に求めるだけでは、この問題は解決できな…
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なぜ「日立ショック」がKAISHA再興に重要なのか
最近、日立製作所のことをよく耳にする。そこで今回筆者は、日立の事例が「日立ショック」とでもいえるほど、日本にとって大変重要であることを主張したい。具体的には、3つの理由からである。
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日本企業の「選択と集中2.0」は舞の海に学べ
日本企業が直面する現在の競争の起源をたどると、1990年代後半、韓国、台湾、そして中国の企業が高品質な量産組み立てメーカーとして台頭してきたことに突き当たる。
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ドイツ人経営学者が見た、日本企業が世界にとって大事な理由
外国人が、日本経済について書かれた書跡やニュースなどを読むと、たいてい「失われた」とか「遅れている」とか「低い」といったネガティブな言葉にあふれている。日本の業績がそれほど悪いのなら、なぜいまだに世界第3位の経済大国であ…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
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1000年企業の肖像
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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