OISTの構想と沖縄の未来

成毛:お話を伺っていて、OISTは日本の研究において最後の砦(とりで)になると感じました。OISTがなくなったら大変ですよ。

グルース:OISTがなくなったら……今は私が学長で責任者なので、最も気にしていることです(笑)。OISTのようなことをやっている日本の大学は少ないので、頑張らないといけませんね。

成毛:OISTにはハイテク産業の「イノベーションパーク」をつくる構想があると聞いています。

グルース:はい、今も協議中なのですが、キャンパスのそばにイノベーションパークをつくろうとしています。ここは、基礎研究から生まれたイノベーションやハイテク産業が発展する拠点となる場所、つまりイノベーションのハブとなることを目指します。環境に配慮した交通や、企業、学校、住宅などを備える予定です。

成毛:OISTのキャンパスのすぐ近くにつくるんですね。

グルース:世界中の成功しているクリエーティブなハイテク集団を分析してみたところ、学術機関などの知的センターの近くに創設されると繁栄するということが分かりました。ハイテク・イノベーションパークで進める応用研究や、スタートアップ企業を通じて、優秀な人材を沖縄に集めたい。OISTは、その磁石のような役割になると考えています。

成毛:それは、沖縄にも利益をもたらしそうです。

グルース:そうしたいと考えています。沖縄県の観光によって支えられている産業は、県のGDPの最大25%を占めています。コロナ禍で観光産業が大きな打撃を受けましたが、それ以前から、経済基盤の拡大や多様化に向けて動き出そうとしていました。沖縄のハイテク産業を発展させることで産業基盤を広げていきます。OISTは沖縄の支援もできると考えています。

成毛:僕は著書の『2040年の未来予測』の中で、「日本では、学歴の意味がなくなる」と書いたんです。将来若い世代の人口が減り、大手企業も学歴では人を採用しなくなります。その結論として、「親は子どもに、好きな仕事や自分の人生を創造する後押しをしてあげるべきだ」と書いたのですが、まさにOISTのような大学があると、学ぶのも楽しいし、しかも社会にも接続している。日本の大学の目指すべき姿だと感じました。

(構成:梶塚美帆)

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この記事はシリーズ「2040年の未来を一緒に考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。