仕事より山菜採り、大事なことが見つかれば豊かになる

成毛:2040年をいかに生きるかというテーマを考える際には、どこに住むかという問題は切り離せません。『2040年の未来予測』でも触れていますが、2040年は全国的に空き家も増え、住宅コストも下がります。御手洗さんの目から見て、地方、気仙沼のみなさんの暮らしはどうですか。

御手洗:とにかく楽しそうですね。

成毛:ああ、分かります。僕も高校の同級生は札幌にいますが、みんな楽しそうです。河原でジンギスカンをしているだけなのに幸せそうなんですね。田舎は住宅コストだけでなくプレジャーコスト(満足感を得るための費用)も安い。おそらく東京の10分の1以下ではないでしょうか。もちろん、東京には東京でしか楽しめない楽しみがあるのは間違いありません。ただ、住む場所によって生活の満足感やそこに費やすコストの考え方も決定的に変わってくる。そうすると当然、働き方も変わります。

御手洗:そうですね。気仙沼でも、とにかく稼ぎたい、というよりは、ちょうどよく仕事しながら生活を楽しみたい、という気持ちの人が多い気がします。20代で気仙沼に来たときは、その感覚が新鮮でしたし、不思議でした。例えば編み手さんの仕事は出来高制なので、編めば編むだけ収入は増えるのです。でも誰も、一日中編もうとはしません。

 「家事もあるし、家族に負担をかけずにやりたい」とか「そんなに一日中仕事ばかりしていられない」と言います。負担にならず楽しめる範囲で、必要な分だけ仕事をする、という感覚でしょうか。例えばある編み手は、金曜の夕方から旦那さんと車で山にでかけ、週末に夫婦で登山をすることをなによりの楽しみにしていたそうです。東北のほとんどの山に登りに行ったと言っていました。自分の価値観を持って生活している。人生が豊かなんですね。

成毛:ぜいたくですね。

御手洗:そう、ぜいたくなんです。分かりやすい例が春先です。春になると「ちょっと仕事を休みます」という編み手が出てきます。それで何をしているかというと、山に山菜採りにでかけるんです(笑)

成毛:山菜採りのほうが人生における優先順位が高いから、ニットを編んでいる場合ではないんですね。 

御手洗:そうなんです。「冬場に頑張ったから。もういいんだ」と。気仙沼は漁師町だからかもしれませんが、個人事業主の意識が強い。一人ひとりが、自分で生活を良くも悪くもコントロールして自分の人生を生きている印象です。これは女性だけでなく男性も同じです。気仙沼は秋になるとタクシーの台数が減ることがあります。運転手が、山にまつたけ採りに行ってしまうんです。自然とともに生き、生活を楽しみながら、家計を回していく。

成毛:山菜やまつたけを採るか、地方に住むかどうかは別として、これからはそうした生き方も増えていくでしょうね。新型コロナウイルスの感染拡大で働き方が強制的に変わった人も少なくない。働き方や生き方をこれからどうしようかと。多くの人が人生の優先順位を見つめ直しています。2040年を見据えて、気仙沼の人の生き方に学ぶことは少なくないかもしれませんね。『2040年の未来予測』では、さまざまな未来を予測していますが、それを知った上でより自分らしく、豊かに生きていくという選択をぜひしていきたいものです。

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