未来を見れば、メシの種はそこらじゅうにある

成毛:「先細りする年金以外で、適度に働きながらハッピーに暮らせないか」。これからは、ますますそういう老人ばかりになりますよね。ただ、老人みんなを一度にハッピーにしようとするから議論が難しくなっている気がします。もちろん、そういう大きな問題を考えなくてはいけない立場の人もいますが、民間では、やれることをやれる人がやっていくしかない。それが結果的に解決策になるのではないでしょうか。

御手洗:確かに、誰かが事業をコーディネートして仕事を生み出すようなモデルをつくって、それが広まれば、地域も活性化されて、雇用が生まれていくかもしれませんね。編み物に限らず、この形態であれば働きたいという人は多い気もします。

成毛:そうなんですよ。最初にモデルをつくればその企業はもうかるし、結果的に社会全体で幸せになる人も多い。企業や経営者は、最初から1000人が幸せになる枠組みを考えるよりは、10人を幸せにする方法を考えて、次は100人、1000人としていった方が早い。うまくいっているモデルがあればそれを他の人がコピーするから10年くらいすると、思っていた以上に多くの人がハッピーになっている可能性が高い。御手洗さんの会社も、そのモデルになるポテンシャルを秘めていますよね。

御手洗:私の会社はニットですが、地域の中高年の女性が働けて事業としても成り立つ、という観点では、ほかにどんな仕事があると成毛さんは思われますか。

成毛:はい、農産品でもいいわけです。例えば、僕の友達で1本5000円のレンコンを海外の日本人シェフに売っている男(野口農園を経営する野口憲一氏)がいます。このレンコン、涙が出るくらいにうまいんですよ。あまりにもおいしいから、海外の一般消費者に売ってみなよと助言したところ、実際に売り始めて、飛ぶように売れています。

 商品に本当に価値があれば、間違いなく海外でも売れるんですね。グローバルで売れば、マーケットは少なく見積もっても国内の20倍になります。当然、生産量が増えれば仕事もつくれます。誰かが仕組みをつくるという前提はつきますが、レンコンのような商品は日本各地に眠っています。取り扱う商品は農産品でなくても、その地域でしか売っていないお菓子でもなんでもいいですよね。

御手洗:重要なのは商品と市場のミスマッチを誰かが埋めてあげればいいということですね。誰かがうまく事業をコーディネートしてあげれば、企業は成長しますし、それがコピーされれば、今よりも多くの人がハッピーになる。

成毛:「ビジネスモデルをつくる」、「海外に何かを売る」と聞くと、多くの人は、ハードルを勝手に上げてしまうんですね。「何か新しいことをしないとダメだ」、「日本の伝統品でないと海外では売れない」と固定観念にしばられてしまう。でも、そんなことはない。人口や社会の足元の問題を見れば、逆にそれがチャンスにもなることもある。現在の問題から未来を考える視点を持てば、どこにでもメシの種は転がっています。

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