今、富士山は「噴火スタンバイ」状態

成毛:2つの巨大地震がいつ起きても不思議ではないわけですが、忘れてはいけないのが富士山の噴火です。私はこれが日本が抱える最大の気候変動リスクだと思っています。前回噴火したのが1707年。約300年前の江戸時代ですね。これほどの期間、富士山が噴火しないことは歴史上ありません。そして、巨大地震との連動も予想されます。

鎌田:まさに富士山は「噴火スタンバイ状態」です。いずれ噴火する火山から、近い将来、必ず噴火する火山に日々近づいています。地殻がこれまでにない変動を起こしている日本では、直近数十年間の常識は通じません。事実、終戦後から1995年の阪神大震災までの日本は、地殻変動の「静穏期」にありました。ちょうど高度成長期に地震が少ない幸運が重なったのですね。そして富士山が前回噴火したときの状況としては、当時の南海トラフ地震で富士山地下のマグマが不安定になっていたため、大噴火となりました。まさに、今、これと似た状況にあります。

成毛:政府も2020年に富士山が大規模噴火した場合の被害想定を初めて公表しました。放置できないリスクとして認識しはじめています。本に詳しく書きましたが、富士山が噴火すれば日本のインフラは壊滅します。数ミリ火山灰が積もっただけで電気系統や通信機能は破壊され、電車も動かなくなり、水道や道路設備も止まります。農作物への影響も甚大です。

鎌田:富士山の噴火と聞くと、「東京にいるから関係ない」と考えるかもしれませんが、火山を甘く見てはいけない。江戸時代の噴火では江戸に5センチ、横浜に10センチ積もっています。ご指摘の通り、数ミリでインフラがまひするわけですから、江戸時代のような噴火が起きれば、首都圏はしばらく廃虚と化します。

成毛:仕事どころか暮らしもままなりませんよね。政府の試算では、噴火から3時間で首都圏に火山灰が降る。みんな右往左往して買い占めているうちに、灰だらけになってしまう。どこかに逃げようとしても時間もありません。

鎌田:東京以外に拠点を持っておくことは、精神的にも物理的にも有効かもしれません。例えば、私が住んでいる京都は天災リスクには強い。湧き水があるから水には不自由しないし、観光客が多いので食料の備蓄もあります。

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