高度に発展し過ぎた資本主義が生んだ弊害。ちょっとした「おかしい」を少しずつ是正していけば、おのずと地方創生が成り立っていくのではないか。意思を帯びるお金の使い方を少しだけ変えてみるだけで、地域経済は回り出す。トラストバンク(東京・目黒)創業者の須永珠代氏はコロナ禍で進む「幸せの再定義」こそが地方創生を実現すると語る。

(写真:的野 弘路)

 コロナ禍で私の考え方は大きく変わりました。皆さんはいかがですか? 幸せって何だろうと立ち止まって考えた人はいないですか?

 今、私は究極の地方創生を「幸せの再定義」なのではないかと思っています。満員電車に揺られ、遅くまで働き、家に帰って寝る生活を送るコロナ前の生活。上司の愚痴を言い合って仲間で飲む日々。もちろん、こうした毎日を幸せに感じる人は依然として多いかもしれません。

 一方で、もう少し自分の時間が欲しい、家族との時間が欲しい、もう少し自然と触れ合いたいといった、これまでにはなかった幸せを願う人も少しは増えたのではないでしょうか。もし、一人ひとりがこのように感じて幸せを再定義し、少しでも思考を変えて行動を変えたなら、そのとき地方創生は自然と成るのではないかとも思っています。

 相田みつをさんの詩に「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」という言葉があります。資本主義が生んだ競争社会は持つ者、持たざる者の二極化を進めました。これまでがダメだと言っているわけではありません。徐々に変化をしなければならないときが来たのではないかと感じているのです。

 そう思うようになったのは、最近、ある経験をしたからです。先日、トラストバンクはコロナ禍で生活が困窮している遺児とそのご家族を支援するあしなが育英会に寄付をすることを決めました。そこで知った実情はすさまじいものでした。食べるものがなくて、農家の人から傷んだレタスを分けてもらい、食べられる部分を洗って食べる子どもたちが数多く実際にいるのです。

 一方、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の会合で訪れたある県では、卸市場で毎日3トンの食品が廃棄されていました。市場価格の暴落を防ぐためです。餓死しそうな子どもたちが現実にいて、食べられる食品が捨てられているという現実があります。

 高度に発展し過ぎた資本主義が生んだ弊害なのかもしれません。どこかがおかしくなっている気がします。こうした、ちょっとした「おかしい」を少しずつ是正していくだけで自然に地方創生が成り立っていくのではないかと思います。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1744文字 / 全文2790文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「地方創生に身を焦がす」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。