自分が信じて突き進んだ「ふるさと納税」の乱用広がる

 2015年くらいからでしょうか、ようやくキャッシュフローが回り始めました。でも、それでも会社を大きくするつもりはありませんでした。

 ただ、現場が回らなくなり始めました。自治体の契約数が1000を超えたあたりから、とてつもない煩雑な業務が押し寄せてきました。いまでも本当にやめてほしいと思っていますが、自治体は3年に1度、担当者が変わるんです。そのたびに、「ふるさと納税ってどのような制度なんですか」から始まります。それまで例えば福祉をやっていました、役所の窓口業務をしていましたといった人たちですから、仕方がありません。

 システムの使い方からウェブマーケティングに至るまで、自治体職員向けの教育だけでも大変な作業になります。1500自治体としても毎年500人近く担当者が変わるということですから。一方で、何百万人という寄付者を相手にしているので、その問い合わせの対応業務もとてつもない量になります。システムも拡張していかないと追いつかないですし、セキュリティーにも気を配らなくてはいけない。UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)が悪いと問い合わせが殺到してしまう。

 市場規模が1000億円を超えたあたりで大手企業が参入してきました。大量の広告を投下し始めました。そして、ふるさと納税の本来の趣旨から逸脱した自治体も出てきました。私たちはふるさと納税の制度を守るため、自分たちの掲載基準を作っていました。この基準に合わない自治体との取引をお断りしていたのですが、自治体の首長が直談判に来るのです。なぜうちの商品を出せないんだと怒鳴られたり、逆に嘆願されたり。

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