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 今回、改めて当時の対応について取材した日経ビジネスに対し、ファストリは「真正面から反省した」(寺師靖之執行役員)と答えている。店長への昇格について「一律半年、一律2年などの基準ではなく、その人にあったスピードで教育する形に変えた。サービス残業は悪という意識も徹底した」(寺師氏)。離職率は大幅に下がったとしている。

 マイナビ(東京・千代田)と日本経済新聞社が21年3月卒業予定の大学生を対象にまとめた文系就職企業人気ランキングでファストリは23位。新入社員の初任給を上げたことも好感され、100位圏外だった前年から一気にランクアップしている。当時辞めていった人たちが心に負った傷を癒やせたわけではない。それでも若手社員を通じて大学生に伝わる情報が、かつての負のイメージを拭いつつあるようだ。

 「何が本当に正しいことなのか、常に考え、これから起きることに対応していきたい」「自らの原点に立ち返り、より正しい経営を行う」。20年4月9日。首都圏などで緊急事態宣言が発令された直後の決算説明会で、柳井氏は「正しい経営」に取り組むと語った。

 日経ビジネスの今回のインタビューでは「正しいとは、ごまかさないこと」と話した。ごまかさずに失敗と向き合い、それが30年で売上高400倍という高成長を導いた。

 売上高はアパレル業界でインディテックスやH&Mに次ぐ3位。両社を追い、さらなる高みを目指すうえで、社員を同じ方向に動かすために経営の背骨として掲げたのが「正しいこと」。ファストリは今、この旗の下で何に取り組んでいるのか。本連載の次の回で見ていく。

[ウェビナー]ユニクロ 強さの源流
1月27日夜8時 一橋ビジネススクール教授・楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏が解説

 DXやAI、サブスク……。新しい技術や急成長するビジネスが登場するたびに、世間にはバズワードが流布する。だが、持続的に成長していくには、ブレない経営の軸が必要だ。「同時代性の罠(わな)」に惑わされないための、60分の思考訓練。毎回、注目企業をケースに、一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏がウェビナーでライブ解説する。

 今回取り上げるケースは「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング。その強さの源流はどこにあるのか? 日経ビジネスが掲載してきた膨大な数のファーストリテイリング関連の記事などを基に、近過去に遡って戦略の本質を見極める楠木・杉浦両氏提唱の「逆・タイムマシン経営論」で同社の強さを読み解いていく。(ウェビナー詳細はこちら

■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    ユニクロ 強さの源流
開催:2021年1月27日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、2021年1月31日まで初割キャンペーン2カ月無料)

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