島忠は実質無借金、キャッシュリッチで投資ファンドの標的に
島忠は実質無借金、キャッシュリッチで投資ファンドの標的に

 2021年、アクティビストに狙われるのはどんな企業だろうか。20年に起こった企業のM&A(合併・買収)のなかにはアクティビストが関与し、その動向が再編の呼び水になった事例がいくつかあった。アクティビストはある日突然やって来るのではなく、投資対象としてロックオンされる企業には特徴がある。

島忠争奪のTOB価格が高値になったワケ

 ホームセンター大手の島忠争奪戦ではアクティビストの存在が注目を集めた。2020年10月2日に同業のDCMホールディングス(HD)が島忠へのTOB(株式公開買い付け)を発表した。島忠はDCM案にいったん同意したが、事態は急展開した。ニトリホールディングス(HD)が1株5500円とDCMを3割上回る価格で対抗TOBに乗り出し、最終的に島忠もニトリHDとの経営統合に乗り換えた。島忠経営陣はなぜDCMとの「婚約」をほごにしてまで、ニトリと一緒になるのを選んだのか。島忠の大株主に英国や香港をはじめ国内外のアクティビストが名を連ねていた。もし安いTOB価格の買収提案を受け入れたら、大株主たちからとことん追及される恐れがある。そのため、島忠の取締役会としてはよりいい条件での買収提案に軍配を上げざるを得なかった側面がある。

 アクティビストは島忠を数年前から狙っていた。島忠は実質無借金経営を続け、8月に自己資本比率は77%、手元流動性は約200億円とキャッシュリッチとして知られる。TOB発表前もPBR(株価純資産倍率)が1倍を割っていた。そしてホームセンターは数が多く飽和状態にあり業界の再編期待も高かった。

 英投資ファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ、香港のオアシス・マネジメントは島忠株を以前から保有し対話を促してきた。一方で、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスは大量保有報告書を見る限りでは、一連の動きに前後して短期で参入し、10月下旬にニトリHDが島忠株にTOBを表明した後に利益を確定する売りを出したとみられる。オアシス、シティインデックスなどは買収企業、被買収企業の株価変動を利用してうまくサヤを抜く取引手法「M&Aアービトラージ」が得意なことでも知られている。

社長解任要求にホワイトナイト登場

 アクティビストの介入が引き金となったのが、三井不動産による東京ドームへのTOBだ。東京ドームの株式を10%弱保有する大株主のオアシスは東京ドームの経営改善を求めてきた。改善の遅れを理由に、12月の臨時株主総会で社長解任等の株主提案を行った。機関投資家に議決権行使の助言をする会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)もオアシスの社長解任等の株主提案に対して賛成推奨を公表したことに対して、東京ドームは反発して支援企業を探していた。11月27日、三井不動産が友好的な買い手のホワイトナイト(白馬の騎士)として東京ドームにTOBをかけると発表した。オアシスも歓迎してTOBに応募する。 

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