広島東洋カープ緒方孝市前監督とマツモトキヨシの松本貴志社長の対談の最終回。10月1日、マツモトキヨシホールディングスはココカラファインと経営統合し、マツキヨココカラ&カンパニーが誕生した。2017年にドラッグストア日本一の座を明け渡していたマツモトキヨシは、リアル店舗とデジタルを組み合わせて、日本一の奪還を狙う。

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マツキヨ、「ドラッグストア日本一」を明け渡したら見えたもの
マツキヨだけの「魔剤」があるから、お客様は店に来てくれる

緒方孝市・前広島東洋カープ監督(以下、緒方):私は今回、こちらにお邪魔する以前から、マツモトキヨシのことはもちろん知っていました。1990年代のテレビCMも印象に残っていますし、東京ドームのバックネット下あたりに広告があった記憶もあります。

 ただ、九州の出身の私には、ドラッグストアというとコスモス薬品のイメージが強いですし、今、住んでいる広島では、ツルハグループ入りしたウォンツの店舗が目立ちます。

 この10月、マツモトキヨシホールディングスはココカラファインと経営統合してマツキヨココカラ&カンパニーとなり、店舗数も約3000店に増えました。やはり、アウェーでも勝利して、もう一度、日本一に返り咲きたいという思いがあるのでしょうか。

松本貴志・マツモトキヨシ社長(以下、松本):先人が築き、20年近く維持し続けてきたドラッグストア売り上げ日本一という地位に追いつかれ、抜かれそうになったときが、我々にとって一番きつかった時期でした。負けるわけにはいかないという思いも、過去の成功体験も強烈でしたから。

 しかし、2017年に一度、抜かれてよかったというと怒られそうですが、そういう立場に追い込まれたことで、自分たちはどうするのか、どうしたいのかを考えることができました。売り上げをつくって日本一を死守することもできたのですが、そこで出た答えは「我が道を行こう」でした。

(写真:都築雅人、以下同じ)
(写真:都築雅人、以下同じ)

緒方:これまでもお聞きした、マツキヨらしさですね。

松本:そうです。そこに向き合うことができて、何のためにプライベートブランド(PB)商品に取り組むのかもしっかりと考えることができました。その点を、ココカラファインとの経営統合でも評価をいただいています。ですから、PBのエナジードリンクもココカラファインでお買いいただけるようになりますし、日本一に返り咲けるかもしれません。

緒方:ただ、マツキヨだけでも「マツモトキヨシWAY」を浸透させるのも簡単ではなかったはずです。今回、別の文化を持っている企業と簡単に融合できるものでしょうか。野球で例えれば、フリーエージェント(FA)やトレードでいい選手さえ集めれば、またはいいチーム同士が合併すれば強いチームができるかというと、必ずしもそうはいきません。

松本:おっしゃる通り、別の企業文化を持っていますし、お客様も何かしらの理由があって、マツキヨなりココカラファインの店を選ばれているはずです。これはマツモトキヨシというよりは、マツキヨココカラ&カンパニーがどうしていくかという問題ですが、ただ一つ言えるのは、私たちは“強くても勝てないチーム”になってはならないということです。

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