2016年から18年まで3年連続でプロ野球・広島東洋カープをリーグ優勝に導いた緒方孝市前監督が、経営者に学ぶシリーズ。第3回は、ドラッグストアという文化を日本に根付かせたマツモトキヨシの松本貴志社長に聞く。松本社長は2021年4月に社長に就任したばかりだ。

緒方孝市・前広島東洋カープ監督(以下、緒方):はじめまして。今日はお忙しいところありがとうございます。突然ではありますが、社長はずいぶん体が大きいですね。

松本貴志・マツモトキヨシ社長(以下、松本):180cmあります。家族もみな大きいですが、私が一番大きいですね。

緒方:学生時代にスポーツはやっていたのですか。

松本:この身長があるのと、それからマンガに影響されて、高校時代はバスケットボールをやっていました。

<span class="fontBold">緒方孝市[おがた・こういち]</span><br>1968年生まれ、佐賀県鳥栖市出身。野球評論家。元プロ野球選手、同監督。1986年に広島東洋カープからドラフト3位指名を受け入団。2008年まで主に外野手として活躍し、3度の盗塁王に輝き、堅守の選手に贈られるゴールデングラブ賞を5年連続で受賞した。2009年に現役を引退後もチームに残り、コーチとして後進の指導に従事。15年に監督に就任すると16年から18年にかけてチームを球団史上初の3連覇に導いた。19年に退任。(写真:都築雅人、以下同じ)
緒方孝市[おがた・こういち]
1968年生まれ、佐賀県鳥栖市出身。野球評論家。元プロ野球選手、同監督。1986年に広島東洋カープからドラフト3位指名を受け入団。2008年まで主に外野手として活躍し、3度の盗塁王に輝き、堅守の選手に贈られるゴールデングラブ賞を5年連続で受賞した。2009年に現役を引退後もチームに残り、コーチとして後進の指導に従事。15年に監督に就任すると16年から18年にかけてチームを球団史上初の3連覇に導いた。19年に退任。(写真:都築雅人、以下同じ)

緒方:「SLAM DUNK」ですか。

松本:そうです。ただ、高校2年生のときに親友からサッカー部に誘われまして、「いまさらボールは蹴れない」と断ったのですが「キーパーなら大丈夫だ。ゴールは決まって当たり前、止めたら英雄だ。とにかく背が高いのは有利だから。なんならユニホームの色もほかとは違うから大丈夫だ」と説得されて……。後輩にも教わりながら、そこから高校時代の最後までほぼサッカーをしていました。

緒方:野球はいかがですか。

松本:野球はそんなに……。小学生のときに、おふくろに厳しいチームに入れられて、それがトラウマになっているのかもしれません。

緒方:野球は指導が厳しいのが当たり前になってしまっていますからね。子供たちには、まずは楽しさを教えたらいいのにと思いますが。

 さて、松本さんは2021年4月に株式会社マツモトキヨシの社長に就任されました。トップに立つ心構えはできていましたか。

<span class="fontBold">松本貴志[まつもと・たかし]</span><br>マツモトキヨシ社長。マツキヨココカラ&カンパニー専務取締役グループ営業企画統括。1975年生まれ。1999年4月佐藤製薬入社。2002年4月マツモトキヨシ入社。同社ドラッグストア事業本部長兼事業サポート室長着任。執行役員、取締役営業推進本部長兼営業推進部長兼通信販売部長、取締役副社長などを経て2021年4月より社長。
松本貴志[まつもと・たかし]
マツモトキヨシ社長。マツキヨココカラ&カンパニー専務取締役グループ営業企画統括。1975年生まれ。1999年4月佐藤製薬入社。2002年4月マツモトキヨシ入社。同社ドラッグストア事業本部長兼事業サポート室長着任。執行役員、取締役営業推進本部長兼営業推進部長兼通信販売部長、取締役副社長などを経て2021年4月より社長。

松本:ある程度、心の準備はできていました。それまでも、自分がそういう立場に立つことをイメージして仕事をしていたと思っています。

緒方:ああ、それは私とは違いますね。私の場合は、ヘッドコーチ時代に(野村謙二郎)監督から突然、「今年で辞めるから後を頼む」と言われて、その数日後には球団からも就任の要請があり、早く決めなくてはならないということで十分に考える時間もないまま、その立場に立っていました。

 ですから、監督になってシーズンが始まってからも戸惑うことばかりでしたが、最も想定外だったのは、とにかく監督は表に立たないとならないことでしたね。

 何かあればチームを代表して挨拶し、テレビ局の取材があればそれに応じる。チームの戦術や選手の起用方法を考えるよりも、発信することが監督の仕事なのかと驚いたものです。

松本:上場企業の経営者は、みな、同じことに戸惑っているのではないでしょうか。本来であれば社内のことに時間を割きたいけれど、実際には、広報やIR(投資家向け広報)に予想以上に時間を使うことが多くなってしまうのです。

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