従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年4月から施行される。2013年に法律で65歳定年制への移行が開始されてから、多くの企業は再雇用後の処遇低下・役割変化でモチベーションが下がりがちなシニア人材をどう生かすか頭を悩ませている。そんな状況下でのさらなる定年延長に、企業は対応できるのか?生産性を維持しつつ、長く働ける社会を築くために企業がすべきこと、個人がすべきことを考える。(写真:Shutterstock)
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄

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15回
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「高齢者は弱者」ではない、フェアな社会保障のあり方とは?
健康寿命の延伸や年金制度に対する不安から、65歳以降も働き続ける人が増えている。こうした社会情勢の変化に応じて、税制や年金、医療といった社会保障のあり方も変えていかなければならない。一橋大学の佐藤主光教授に話を聞く。
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定年前に独立を、タニタ社長が「再雇用の受け皿」をなくしたい理由
2017年に、個人事業主制度を導入した健康機器大手のタニタ。同社では定年の60歳以降に働ける再雇用の受け皿的な会社を設けているが、当初その会社に行く予定だった社員が一転、個人事業主になると手を挙げるケースが出ている。社員…
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定年後に仕事が見つかる人、見つからない人の違いはどこにある?
「60歳以上で気力、体力、知力のある人」を登録条件にする高齢者専門の人材派遣会社、高齢社の緒形憲氏に、定年後に仕事を見つけられる人の条件を聞いた。
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高齢者の特別扱いは厳禁、65歳までは全員働くべきこれだけの理由
4月から、70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務とする改正高齢者雇用安定法が施行される。労働経済学の大家で、今回の法改正にも関わった慶応義塾学事顧問の清家篤氏は、「高齢者の就労促進なしに、日本の経済社会の将来はない」…
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定年を機に一兵卒に、生涯現役には「降りる勇気」が必要
高齢者も働くのが当たり前の社会では、私たちはどんな心構えをしたらいいのか。人事管理のエキスパートで学習院大学名誉教授の今野浩一郎氏は「生涯現役で働くことを考えるなら、ピークアウトという発想が重要だ」と強調する。
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給料4~6割減が過半、生活のためが6割、定年後再雇用の厳しい現実
業務量や拘束時間はあまり変わらないのに給料は大幅ダウン――。日経ビジネスの独自調査から明らかになったのは、定年後再雇用の厳しい現実だ。
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75歳まで働く社会の現実味、「年齢不問社会」をどうつくる?
2040年の人口ピラミッドを見ながら、仮に74歳までを「生産年齢」としたときの姿を展望してみたい。退職年齢の上昇は日本だけではなく、比較的“若い国”と思われている米国でも同じ。今後、高齢人材の活用が世界共通の課題となって…
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年金が減るから働きたくない? 制度が定年後の就労意欲そぐ
70歳まで雇用を延長する努力義務が今年4月から企業に課せられる。国は社会保障制度を維持する観点から「人生100年時代」をうたうが、一方で、働く意欲をそぎかねない制度も残されている。「働くと年金が減りかねない」という制度上…
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「老い」から解放? パワードスーツで筋力補完、アバターで若返り
60~70代以降も働き続けたい――。意欲はあっても、逆らえないのが体力の衰えだ。そうした中、仕事の現場で使われ始めているのが、人の動作を支援する装着型ロボットのパワーアシストスーツ。コロナ禍で活用が進む「アバター(分身)…
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高齢者雇用を阻むマインドセット「男性・管理職・大会社」を崩せ
大会社で管理職を経験した男性ほど「自分に合った仕事が見つからない」と嘆く傾向にある。今年4月から、70歳までの雇用延長が企業に努力義務として課せられるが、このマインドセットを捨てなければ、就労の機会を逃すことになる。
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セブンイレブン、丸亀製麺…進む高齢者雇用はAI時代にも盤石か
小売りや外食といったサービス業では、慢性的な人手不足から高齢者雇用がいち早く進んでいる。だが、AI(人工知能)など技術革新はこれからも続き、仕事をどんどん代替していく。それでも高齢人材に居場所はあるのか。
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定年後もバリバリ働け! タニタ、大和証券の「やる気」アップ作戦
定年退職後の再雇用では給料が下がり、責任も減る。バリバリ働くより、むしろゆっくり人生を楽しみたい――。定年後はそんな働き方を理想とする人も少なくないだろう。だが、本当にそれだけでいいのだろうか。定年後もスキルを生かしてバ…
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欲しいのは「優秀な高齢者」だけ、定年を迎えられぬ社員も
定年延長など高齢者の雇用推進と同時に、多くの企業がスキルを判断基準に雇用する「ジョブ型」人事を進めている。この2つは矛盾する動きのように見える。実際、複数の企業が、「全員が定年を迎えられるわけではない」と口をそろえる。企…
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働きたくても仕事がない? 団塊ジュニアを襲う「再雇用氷河期」
これから深刻化する人手不足の「救世主」として期待される高齢者人材。だがAIや機械化の進展が、高齢者人材の雇用を生み出している職種を「消滅」させようとしている。時代の変化に即したスキルを身につけなければ仕事が見つからない。…
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70歳“定年”パニック、雇用延長が企業と個人にもたらす「不幸」
2013年に改正された「高齢者雇用安定法」が20年2月にさらに改正され、21年4月から施行される。70歳までの雇用が努力義務として企業に課せられるようになる。元気なうちは働きたいと考える高齢者は年々増加傾向にあるも、雇用…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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