「70歳定年」を「押しつけられた」と思う企業

今年4月から、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は、70歳までの雇用機会確保を努力義務として求められるようになります。こうした雇用延長の流れをどのように見ていますか。

谷田氏:日本は、比較的雇用が安定しているといわれていて、会社に入るのがゴールのようになってきました。入社しさえすれば、後の人生はある程度やっていける。つまり、あまりスキルを磨かなくていい環境に置かれるんですね。

 そういった環境のまま、あまり成長しなくていいと考えている人を抱え続けなければならなくなると、企業側は、「(国から)押しつけられた」と思うわけです。でも、こうした日本のスタイルは実は長い目で見ると、必ずしも雇用が保護されているとは言えません。

どういうことでしょうか。

谷田氏:日本で長く続いてきた雇用スタイルでは、今後、老後に苦労する傾向は強まります。努力をせず、スキルは高まらないので、仕事がどんどんなくなるからです。一方で、今は徐々に雇用が流動化して、会社は社員に「優しくない」と言われることが多いように思います。

 けれど、そういう環境だからこそ、社員は自ら切磋琢磨(せっさたくま)しなければならず、個人としてのスキルを向上させることが必要です。どちらが正しいということはありませんが、スキルを磨かざるを得ない状況に置かれる方が、長期的には雇用が安定するという見方もできる。

 だから、必ずしも、今までの日本の雇用のあり方が優しくて、今後広がっていく流動性の高い雇用が優しくない、とは言えないのではないでしょうか。

ある意味、会社に守られてきたともいえる社員が、会社という組織を出て、個人事業主になるのは大きな決断です。タニタの制度は、その決断を後押しする役目を果たしているということですか。

二瓶氏:定年した60歳から独立するとなるとどうしても「いきなり感」が出てしまいますよね。この「いきなり感」を少しでも和らげるために作ったのがこの制度でもあるのです。

 タニタの制度を使用すれば、早いうちから独立する動きになじみやすく、スタートを切りやすくなります。挑戦するタイミングは人それぞれですが、会社がサポートして個人事業主としての一歩を踏み出しやすくしているのが、タニタの制度です。

この記事はシリーズ「70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。