「変わらなければ」という意識が強まる

谷田氏:若手の方が将来のことも含めてよく考えているなということをひしひしと感じます。中堅層はどうかというと、先ほどのように50代の個人事業主制度利用者が多いことも踏まえると、身近な同僚が個人事業主になり始めたことによって「自分も変わらなければ」という意識がこの1、2年で加速するのではないかとみています。

机を並べる仕事仲間が個人事業主になると、「自分事」として捉えやすくなりそうですね。

二瓶氏:タニタにある3つの主な職種のそれぞれで制度利用者が出ています。男女比を見ても、社員の男女構成比とほぼ同じです。性別や職種を問わず、挑戦できる環境になっているのではないかと思います。

 個人の価値観や置かれている環境もあるのでどのタイミングで挑戦するかはそれぞれの判断で異なるでしょう。それでも、大きな流れとしては、個人事業主として自立した働き方の方が長期にわたり、強みを生かして働いていけるのではないでしょうか。

多くの社員が個人事業主制度に移行すれば、将来的には再雇用の受け皿的な会社であるタニタ総研は不要になりそうですね。

願わくは、多くが個人事業主に

谷田氏:はい。ただ、これまでは時代の雰囲気としても、誰もが自らスキルを開発するような環境ではありませんでした。そのため、そのような人でも働き続けられるように、しばらくはタニタ総研の役割は続くでしょう。それでも、願わくは、社員の多くが個人事業主制度を活用するようになってほしい。その方が、健康なうちはずっと仕事に関われて、楽しく働けるんじゃないでしょうか。

気になるのは、社員全員が個人事業主制度になったら、会社として求心力が保たれるかという点です。いろいろな企業を取材していると、雇用の流動化を進めたいという一方で、優秀な社員だけは何としても抱え込みたいという思いを感じます。

二瓶氏:私も、実はこの個人事業主制度を利用している一人です。その立場から言いますと、タニタの個人事業主制度は原則、3年先の仕事まで契約できたり、社員時代にやっていた仕事をそのまま継続したりできます。一般的な個人事業主より安定しています。

 もちろん、その後にタニタ以外の企業との取引を増やすという選択肢もあるし、タニタとの取引をさらに深掘りする方法もある。それでも、タニタとの関係性の中にある制度ですから、普通の個人事業主以上にタニタと強い結びつきはあるのではないでしょうか。

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