個人差はありますが人間は年齢を重ねるに伴い、体力や認知力の面で衰えが出てきます。高齢人材を雇う際には、労務管理にも気を使わなければなりません。

緒形氏:派遣先ではどうしても行きがかり上、契約にない体力を要する仕事を求められてしまう可能性も出てきます。修理・点検作業中に「ちょっとここを支えていてください」などと頼まれるケースもあります。

 ですが働いている仲間の皆さんには「業務外の仕事はしないように」とお願いしています。よかれと思って手伝いたい気持ちは分かりますが、高齢者はちょっとした無理が体を壊すリスクになることがあるからです。

 先ほど申し上げたワークシェアリングの考え方も、高齢者の労務管理に役立っています。「自分の都合に合わせられる」安心感は、体力や精神的負荷の軽減に役立っています。高齢になると、無理なく働くことがとにかく大切ですから。

 また、年に一度、健康診断を欠かさず受診してもらっています。自動車を運転する可能性のあるスタッフの方には運転適性検査も定期的に実施しています。

高齢者でも働きやすい制度作りを

平均寿命の延伸、年金の支給開始年齢引き上げなどもあり、生活のために長く働かなければならない時代になりました。今後は高齢者にとって、派遣会社への登録も大きな選択肢になるのかもしれません。一方で、制度面では追い付いていない部分もあるように見受けられます。

緒形氏:現在の雇用制度は主に若年層の利用を前提にした制度設計になっています。例えば契約期間に定めがある有期雇用で働く人が、契約更新を重ねて通算5年を超えると無期雇用に転換できる「5年ルール」。若い人は無期雇用への転換を望むかもしれませんが、高齢者には必ずしも必要なルールではないでしょう。

 また、たくさん働くと年金を減らされてしまう在職老齢年金制度も問題があると思います。当社で働く方の多くが年金と当社の収入で生計を立てていますから、収入が上限を超えないように注意している。まあ、中には「働くのが大好きだから超えても構わない」という方もいらっしゃいますが、就労意欲の減退につながりかねない制度はぜひ見直してもらいたいものですね。

 コロナ禍とはいえ、日本は大都市圏を中心に、人手不足が目立つ業種も少なくありません。労働力不足の解消に少しでも役に立てるように、高齢者が元気に働く社会の実現に貢献できるように、仲間を少しずつ増やしていきたいと思っています。

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この記事はシリーズ「70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。