テクノロジーは高齢者に優しくなる
高齢人材ではテクノロジーの進化に対応できないという懸念もあるようですが。
清家氏:テクノロジーの進化はむしろ、高齢者の就労を後押しするのではないでしょうか。例えば、脳外科医。かつては、手の震えや視力の低下のために50代半ばくらいで引退を余儀なくされていたという話ですが、内視鏡の精度の向上や手術支援ロボットの誕生などで、60代でも現役でいられるようになった。パワードスーツなどもそうですね。体力が衰えても、力仕事や介護の現場で楽々と働くことも可能になっています。
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新しいテクノロジーを使うことで、肉体的な限界で高齢者には無理だろうとされていた仕事でさえできるようになる。
私は、現在進行している第4次産業革命は高齢者雇用とウィンウィンの関係になると思っています。これから高齢者はどんどん増えて、高齢者の就労も進みます。そんな時代に、高齢者が使えないようなテクノロジーは淘汰されていくでしょう。
若い人を中心にテクノロジーも進んでいた時代から高齢者の多くなる時代への端境期には、高齢者が技術変化に遅れて不利になることもあるでしょう。しかし、高齢者が多数になる時代に、利用者の多くを占める高齢者にフレンドリーでない技術が存在し続けるとは、市場経済的には考えづらい。市場が解決してくれるでしょう。
働く高齢者の間では、短時間勤務の希望も多いようです。高齢者雇用が進むと、労働時間の在り方も柔軟になるのではないでしょうか。
清家氏:とても大切なポイントです。高齢者や女性にもっと働いてもらわなければなりませんが、そのためには労働時間の柔軟性を高める必要があります。世界的にパンデミックに対処するため、時差出勤や在宅勤務は一気に増えました。この経験をぜひ生かして、中長期的な視点で高齢者や女性の能力を十分に引き出すための環境整備を進めるべきです。
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