外国人頼みでは乗り切れない
高齢になっても働き続けることは不可避だと。
清家氏:高齢者の就労を促進することは、日本の経済社会を持続させるために不可欠です。今は引退している年齢層の高齢者ももっと働き続ける必要があります。
男性の場合、60代前半の労働力率(人口に占める就労意思のある人の割合)は現在でも80%を超えていて、諸外国に比べて高いですが、これを90%程度にまで引き上げる。60代後半についても、現状の50%台半ばを70%ぐらいまでに引き上げる。
こうしたことができれば、労働力人口(15歳以上で就労意思のある人の数)の減少は一定のところで食い止められ、2040年に6200万人ぐらいの規模を維持することも可能です。これであればある程度生産性を高めることで経済成長は可能で、社会保障制度の維持も楽になります。
さらに言えば、現時点で既に高齢者の労働力なしに日本経済はたち行きません。既に、65歳以上の労働力人口は900万人強ですが、これは1000万人強の20代の労働力人口に近い数字です。経済も社会保障も、高齢者に依存せざるを得ない。これが実態で、今後さらに顕著になっていくわけです。
女性の就労促進や移民の受け入れといった手段も有効なのではないですか。
清家氏:女性の就労促進は高齢者と同じように非常に大切です。30代の女性の労働力率は現在70%台半ばですが、これを90%に近づけていく。そのためには子育て支援を強力に進めていく必要があります。
外国人労働者については、日本の人口構造の変化を考えれば、もっと来てもらう必要はあると思いますが、これはそんなに簡単ではない。日本に限らず、中国や韓国など東アジア全体で少子高齢化が進展しています。日本と韓国は既に外国人労働力の確保で競争関係にある。外国人に門戸を開けば、簡単に来てくれるというふうに思うのは、甘い考えと言わざるを得ません。
もちろん条件をしっかりと整えて、海外から人材を受け入れる政策を進めなければいけないとは思いますが、外国人頼みで人口構造の変化をしのぐことはできません。まずは、国内にいる女性や高齢者の就労意欲を喚起する政策を強力に進めていく。そうすれば、自ずと外国人労働者にとっても、魅力ある国になっていくでしょう。
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