Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏による連載第9回は、顧客体験をDX(デジタルトランスフォーメーション)するために必要な観点を「移動コスト」と「カスタマージャーニー」という2つの側面から紹介する。

(写真:的野 弘路)
(写真:的野 弘路)

 これまで、「顧客体験をDXする」ということの本来の目的は将来的なビジネスに備えるためだと説明してきました。ただし、DXの進化を後押しする要因はほかにもあります。

 例えば、印刷用紙や物流コストの値上がりです。現在、カタログや書籍に使う印刷用紙は値上がりの傾向を見せていて、古紙価格も上昇中です。日本の品質の良い古紙を積極的に購入しているのは中国であり、今後は日本国内でも用紙の値段が上がっていく可能性は高いといわれています。

 環境意識の高まりの観点からも、チラシやDM(ダイレクトメール)といった大量配布する販促手法は、難しくなっていくでしょう。また、 EC(電子商取引)消費の伸びによる物流量の増加に伴い、数年前に宅配便大手3社が基本運賃を値上げする方針も打ち出されました。

 印刷用紙や物流のコストが今後、ますます上昇する懸念がある中で、従来のDMや折り込み広告、屋外広告、フリーペーパーといった販促市場のデジタル化は、一層加速するでしょう。そして、デジタル化が進む過程で、逆に通信に関するコストは下がっていく傾向にあります。

 今後本格的に普及期を迎える高速通信規格「5G」では、従来の100倍の通信速度を実現できるわけですが、それはデータを送るコストが従来の100分の1になるということです。物理的なコストが上がる中で、デジタルの世界ではデータ移動にかかるコストは下がっていく。この「移動コストを下げる技術へのシフト」はDXを考える上で重要な観点です。

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