Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏連載の第6回は、D2Cモデルの現状整理から、サブスクリプションモデルによるビジネスを実現させるために必須の改革を明らかにする。

(写真:的野 弘路)

 前回に続いて、D2C(Direct to Consumer)のことを、もう少し深掘りしておきましょう。D2Cと私たちが呼ぶ業態は、大まかに3つのパターンに分けられます。販売するプロダクトだけでなく、それぞれで顧客体験を向上させながら競い合っています。

 その3パターンとは、ピュアD2Cプレーヤー、メーカーのD2Cブランド、プラットフォーマーによるPB(プライベートブランド)です。

 まず、ピュアD2Cプレーヤーは、もともと創業当時からD2Cの形態でプロダクトを届けていくことを想定していた事業者です。スタートアップが多く、プロダクトのユニークさが売り。米国のミレニアム世代から人気を得ているニューヨーク発のコスメブランド「Glossier(グロッシアー)」や、日本であれば個別診断によるヘアケア用品を提供する「MEDULLA(メデュラ)」などが相当します。ピュアD2Cプレーヤーは飲食業界でも多く、日本では人気ゆえに入手困難ともいわれるチーズケーキが売りの「Mr. CHEESECAKE」などが有名です。

 次に、メーカーのD2Cブランド。メーカーが小売りや卸売りを通さずにコンシューマーへ直接売るという事業者です。多くは、既存流通や一般小売店との差別化をするために、プレミアムな価格帯の領域に進出するケースが多いです。誰もが買える価格ではないけれども、こだわりのある顧客なら欲しいと感じるものをそろえ、高単価ゆえに採算に見合いやすい利点もあります。

 フランスの化粧品会社、ロレアルが展開する「Color&Co(カラーアンドコー)」は、ユーザーの髪質や好みに合わせたカラー剤を販売するブランドです。欧州では自宅で洗髪でき、手ごろな価格で質の良いカラー剤があまりないこともあって、コロナ禍で人気を博しています。日本では、第2回でも紹介したキリンビールの自宅用ビールブランド「KIRIN Home Tap(キリン ホームタップ)」が、まさにこの例といえるでしょう。

 そして、プラットフォーマーのPBでは、米アマゾン・ドット・コムが展開しているコスメブランドの「BELEI(ベレイ)」や、飲食ブランドの「Happy Belly(ハッピーベリー)」が相当します。いずれも、OEM(相手先ブランドによる生産)によってアマゾンが自社のプラットフォームで販売するという事例です。お米、水、コーヒーといった ECでの定番商品をそろえ、中間流通マージンがないこともあり、価格の安さや合わせ買いのしやすさもあって人気です。

 プラットフォーム事業者は多くの販売・顧客データを保有していますから、その傾向からどのような商品をPB化していけばよいか見定めていけるのです。コンビニエンスストアでも近年、PB品の比率が増えていますが、あれも回転率が高く、売れる商品カテゴリーを積極的にOEMで製造して利益率を高めているのです。

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