Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏の連載第5回は、日本でDXが進まない理由について考える。なぜ、世界に後れを取っているのか。

(写真:的野 弘路)

 「日本はDXで後れを取っている」とよく聞かれます。理由は複数ありますが、現場が拒否権を持つのも大きいと考えています。例えば、ファクスがいまだに使われているのは、現場の誰もが今のオペレーションを変えたくないからでしょう。「DXで顧客体験を良くします」と主張しても、実際にそれを提供しているのは現場ですから、現場や中間管理職がDXを拒否していると当然進みません。

 第4回でも話したように、前提として、米国や中国のやり方は参考にこそなれど、そのまま日本企業に移植しようとしてもうまくいかない。だからこそ、私は「日本型DX」が存在するのではないかと考えています。実際にこれからやっていかなければいけないのは、現場がちゃんとDXを理解して、ボトムアップで実現できる方法を提供していくことです。

 「日本型DX」を実現するためには、大きく3つのポイントを押さえるべきです。1つ目は、デジタルに慣れ親しみ、扱いにたけた「デジタルネーティブ」な会社が成長していくことです。そして、デジタルネーティブなプレーヤーが旧来型のやり方を一気に改革していく。

 2つ目は、大企業とスタートアップが提携したり、JV(ジョイントベンチャー)を作ったりすること。旧来型の業種が、デジタルネーティブのやり方を取り込む方法です。日本だとLayerX(レイヤーエックス、東京・中央)が、三井物産、SMBC日興証券、三井住友信託銀行と共同で新会社を作りました。そこで育てた方法論を、一気に横展開していくのです。米国でも同様の動きが起きています。

 3つ目は、プライベートエクイティのような「DXに強い再生屋」の活躍です。赤字続きだったエキサイトをTOB(株式公開買い付け)で子会社化し、一転して半期過去最高益を達成したXTech(クロステック、東京・中央)のような存在が近い。彼らはプライベートエクイティとデジタルを両方理解している人たちです。

 もっとも、これらは過渡期だと捉えています。今までも様々な再生の手法があったわけですから、その一つにDXという手法が挙がるならば、投資とリターンの計算ができます。そこでファイナンスが実行できますし、本来であればこうした動きに対して銀行が出資してもいいはずです。

続きを読む 2/2 デジタル化しなくても今は生き残れてしまう日本

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