日本にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が訪れているが、進捗はまちまちのようだ。企業の「DX格差」を分ける要因とは何なのか。NTT東日本、ネスレなど700社以上にDXソリューションを提供し、『DX入門』の著者でもあるKaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏に、DXの要諦を10回連載で聞いていく。初回はコロナで浮き彫りになった、企業の新たな競争力に迫る。

(写真=的野 弘路)

 国内外でDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する注目度が加速度的に高まっています。この最たる理由の一つはGAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)の存在です。

 GAFAは一国の人口を軽く超える顧客基盤を背景に、本来の事業ドメイン以外へと歩を進めようとしています。例えば、アップルは「Apple Pay」で決済領域に参入し、クレジットカードも発行し始めました。一方、アマゾンはテキサス州オースティンに本拠地を置くチェーンストアであるホールフーズ・マーケットを買収しました。こうした事案が起きると、そのカテゴリーの全企業の株価が大きく下がります。

 そして、スマートデバイスによるビジネス効率化です。会社支給のフィーチャーフォンがスマートフォンになり、ノートパソコンがタブレットに代わるなど、ビジネスの現場にはかねてスマートデバイスが導入されてきました。にもかかわらず、経費精算をはじめとする業務の一部はイントラネットにパソコンからログインしないとできないといった非効率性が残ってきました。クラウド型のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)が広がりつつあるのはこうした背景があります。

 「脅威」と「機会」という二つの側面で、デジタル化への対応が急務となったわけです。ここに、新型コロナウイルスの感染拡大という脅威が加わりました。コロナ禍では「非対面・非接触でも、あなたのビジネスは成立するのか?」を問われています。それを実現させるためのDXには、大きな意義があります。

 身近な例として、日本マクドナルドホールディングスは店舗の閉鎖や客席の封鎖を行っても、昨年対比でプラスでした。この理由は明白で、デジタルを活用して、非対面・非接触でもビジネスがうまくいく備えが取れているからにほかなりません。デリバリー需要にいち早く応え、ファミリー想定でまとめ買いすると得をするクーポンを発行するなど、戦略にも非常にたけています。店舗の閉鎖でオーダー数が減っても、客単価が高まるような仕掛けが功を奏しているのです。

 ほかにも、「ユニクロ」や「ニトリ」、「ヨドバシカメラ」はコロナ禍による影響を最小限にとどめている代表例と言えます。オンラインでもオフラインでも同様の体験を提供できるように志向してきた企業は、業績的においても株価においても影響を最小化できています。こうした企業は「コロナ抵抗力」を備えていたと言えるでしょう。

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